- 過去からの延長に成り立つロジック思考では未来を切り開くことはできない
- イノベーションのために必要なのは常識に対する違和感というノイズ
- 未来に対する夢物語を大きく大きく広げることがスタートライン
成熟事業では、ロジック思考(ロジカルシンキング)が重用されます。ロジックとは、過去〜現在の延長線上に、データや事象に対して、自身の経験や他社事例などを掛け合わせて、未来を推察することです。
しかし、資本主義の成熟による顧客の消費行動の変化、アフターデジタル、そしてコロナショックによって、未来は全く読めなくなりました。
極端に表現するならば、ロジック思考では未来を切り開くことはできません。できないのです。
必要なことは、過去〜現在の延長線上に必然として成る未来はあったとしても、為すべき未来はないという認識に立つことです。
過去の延長線上ではなく、ジャンプアップし、リープフロッグした未来を実現するためには、ロジックでは積み重ねられません。
必要なのはアート思考。アート思考とは「問う力」です。「そもそも」「とはいえ」「なのに」を問うこと。
目の前に起きた事実を観察し、解釈し、自分なりに考えて、読み替えて表現する事。未来の扉は、アートでしか開かれません。
アートによって世の中の当たり前、常識、伝統、ルールに疑問を投げかけ、未来を想像してビジョンを提示する。それが未来の扉を開くためには必要です。
イノベーションのために必要なのは、ノイズとそれを感じ取るセンスです。何か違うと感じることは、普通は自然と消えていくものですが、そのノイズを拾い上げることこそがアート思考なのです。
また、アート思考の「問う力」とは、分からないことを分からないと認めることでもあります。無知の知。認めるから読み解こうとする。読み解こうとするから理解する。理解するから解決できる。それがイノベーションに繋がります。イノベーションは問うことからしか始まらないのです。
そこに必要なのはパッケージやフレームワークではありません。整理することではないのです。自分の理解できない事実を前にして、人が人として思考することで、妄想を巡らせることが必要なのです。
ロジック思考は収束です。しかし、収束させるだけでは、現在から未来をどんどん矮小にさせていくことしかできません。
必要なのはアート思考による発散です。未来に対する夢物語を大きく大きく広げることがスタートライン。その上で、デザイン思考で企画に収束させ、ロジック思考で計画に収束させることがイノベーションにつながります。