- いかなるビジネスも必ずコモディティ化する
- 自らを自らの手でディスラプトしなければ、他者にディスラプトされてしまう
- 必要なのは既存事業をリフレーミングし、ビジョンをUXで再定義すること
Japan as No.1の時代に、日本企業はそのNo.1の地位に安寧と胡座をかいてしまいました。
いかなるビジネスもサービスもプロダクトも必ずコモディティ化します。技術はいともの簡単に真似され、盗まれます。そして、価格競争になり、新興国が主役へと移り変わります。
それを乗り越えるために既存事業がいかに巨大になっていようとも、イノベーションは必要不可欠で、それを起こし続けなければなりません。
しかしそこに売上・利益が厳然とそこにあること以上、それに囚われ、イノベーションの足かせになります。「カニバる」のでやらないという判断を容易にしてしまうのです。
しかし敢えてでも、自らの存在を否定し、既存事業にカニバる事業領域に投資し、自らを自らの手でディスラプトしなければ、No.1の座に居続けることは不可能です。
技術革新により、事業の寿命がどんどん短くなっている昨今だからこそ、自己変革をスピーディーに高速回転し続けること以外、勝つ道はありません。
大企業が新規事業に取り組み、既存事業の足枷を乗り越えて、未来を作るために必要なのは自己に対する「リフレーミング」です。
自らを機能的価値で定義していると、そこに縛られ、変化への対応力が弱くなります。機能的価値に縛られていることこそがコモディティ化の一番の原因であり、自らレッドオーシャンへ飛び込むことに他ならない。
鉄道事業者は自らを鉄道事業者と定義するから衰退しました。「人の移動によって国を創る」と定義していれば、いち早く航空事業に参入していたはずだし、MaaSなどという概念が始まる前からMaaSに取り組んでいたはずなのです。
同様に、HDRに強い東芝がネットフリックスが作れなかったのも、ウォークマンを作ったソニーがiPodを作れなかったのも、それが原因です。
既存事業があり、その事業が大きければ大きいほど、自己に対するリフレーミングのインセンティブは働きにくくなります。しかし、時代の変化や外部環境の変化に伴って、自己をリフレーミングし、ビジョンを書き換えなければ、マーケットを大きくディスラプトするようなイノベーションを生むことなど到底不可能なのです。
リフレーミングするために軸として置くべきはUXです。
体験的価値、情緒的価値、自己実現価値をベースにビジョンを描きなおす。そうすれば、目の前には真っ青な大海が無限に広がり、世界へ大きく羽ばたき、未来を変える翼を手にすることができます。
「みたいときにみたい番組をみる」と定義していれば、ハードディスクレコーダーは録画容量や全局録画なんて機能的価値で争わずに、UXを高めるためにはネット配信サービスを既存事業とカニバっても参入していたはずです。
「ステレオサウンドをいつでもどこでも持ち歩く」というウォークマンが発明した画期的なUXを忘れていなければ、聴きたい音楽を聞くためにMDディスクを大量に持ち歩かなければならないUXを排除し、さらなる顧客体験を追求するハードディスクレコーダーは自ら開発していたはずです。
既存事業のロジックで動いては、自らをディスラプトする事は出来ません。顧客体験に沿ってビジョンを描き、それにこだわり続けることだけが、未知の領域の探索と挑戦だけが新しい未来の扉を開くのです。
そのために、今自分たちを機能的価値で定義してしまっているのであれば、リフレーミングし、体験的価値、情緒的価値、自己実現価値のUXで再定義すべきなのです。
デジタルはその実現手段に過ぎません。デジタルがイノベーションを起こすのではなく、ビジョンがイノベーションを喚起し、デジタルが未来を実現するのです。