ざっくりまとめると…
- 事業創造はたった一人の内発的動機から始まるべきだが、内なる情熱だけでは視野が狭まり、思い込みが激しくなり、それが事業リスクとなってしまう
- 正しい批判をし、正しく導いてくれるメンターは、事業成功の鍵だが、出会える確率はものすごく低い
- 自らの中に「悪魔の代弁者」を内包し、常に多角的な視点で物事を考察し、分析し、抽象化・概念化するクセを身につけよう
内なる情熱だけでは、思い込みがリスクになる
事業創造は、たった一人の内発的動機から始まるべきです。合議によって導き出された答えは、みんなにとっての60点ほどの答えにしかたどり着かず、合議からイノベーションはうまれません。
しかし、内なる情熱だけで突き進んでしまっては、視野はどんどん狭まっていきます。思い込みが思い込みを呼び、それがリスクとなり、せっかく立ち上げた事業もうまく立ち上がらなくなってしまいます。
そのとき、それを正しく批判し、正しく導いてくれるメンターの存在が、事業成功の鍵となるともいえますが、自らにとって本当に「正しい」メンターと出会える確率はものすごく低いです。
そのため、起業家やイノベータは、自らの中に「悪魔の代弁者」を内包し、思考実験ができるクセを身につけるとよいでしょう。
悪魔の代弁者とは「あえて批判や反論をする人」
Wikipediaには「悪魔の代弁者」をこう説明しています。
悪魔の代弁者とは、ディベートなどで多数派に対してあえて批判や反論をする人、またその役割。
同調を求める圧力などで批判・反論しにくい空気があると、議論はうまく機能しなくなり、健全な思考ができなくなることが往々にしてある。それを防ぐ方法として、自由に批判・反論できる人物を設定することがある。
語源は、かつてカトリック教会において設けられていた、列聖や列福の審議の際にあえて候補者の至らぬ点や聖人・福者たる証拠としての奇跡の疑わしさなどを指摘する職の名称。人間の悪徳を神に告げる天使としてのサタンの側面にちなむ。悪魔の代弁者 – Wikipedia
多角的な始点で物事を考察し、分析し、抽象化・概念化するクセを身につける
「悪魔の代弁者を内包せよ」とは、自らの考えたアイデアや戦略、戦術に対して、多様な始点で批判を繰り返すことで事業を見つめ直せ、ということです。
人が考えたことなど、完全無欠の答えであることなどありません。なぜなら事業を展開しようとしている時点で、それは多様な人がターゲットになり、その人生すべてを体験することが不可能であるから、他人にとってのベストケースを描けることはありえないからです。
だからこそ、常に多角的な視点で物事を考察し、分析し、抽象化・概念化するクセを身につけることで、より多くの人にサービスを届けることが必要になるのです。