複数の企業において新規事業立ち上げを繰り返してきたシリアルイントラプレナーが、そこで繰り返してきた失敗を主観的に、客観的に記す「イントラプレナーの失敗学」。
今回は、経営サイドの社内起業に対する目的、に関する認識について。
大企業での新規事業をいざ立ち上げよう、というとき、「新規事業」そのものの創出を目的にするだけでなく、そこに並列で「人材育成」や「文化醸成」も目的に含めようとすることが多いとおもう。
ボクは、これには明確に反対の立場だ。
そもそも、新規事業を創る、というのは並大抵のことではない。それが既存事業のコアアセットを利用したものであっても、タイムマシンであっても、新市場の創出であっても変わらない。
なぜならば、そこに命をかけて、削って、新しい価値を世の中に提供しようとする、ベンチャー起業家がライバルとしているからだ。
安寧とサラリーをもらっている社内起業であるならば、なおさら、そういった人たちがライバルであると認識した上で、それ相応のパワーをかけなければならない。
そのとき、「人材育成」や「文化醸成」を並列した目的に掲げて勝てるだろうか。
ぼくはそうは思わない。
命をかけて、削ってまで、そこにチャレンジしているチームと、ある種邪な目的を横に掲げたサラリーマンチームが戦ったときに、本当に勝てるだろうか。
会社として「人材育成」や「文化醸成」を目的に掲げるのであれば、ステップをしっかりわけるべきだ。
「社内起業」を行う前のステップとして、セミナーや研修などを通じてそれを行うべきだ。まずは、そこで最低限の意識や知識を醸成すること。そして、なにより、それによって、チャレンジできるメンバーを選抜することが大切だ。
それによってはじめて、ベンチャーチームと同じスタートラインに立つことができる。
その前提の意識は、新規事業を創ろうとしたときに、経営層が最低限持つべき認識だ。