- D2Cは「禅」と「おもてなし」の統合マーケティングだ
- 日本のコミュニケーションセールスに学ぶことは多い
- 世界に冠たるブランドを創るために、先人の失敗に学べ
D2Cがうまれたのはニューヨークやサンフランシスコではない。ここ日本だ。
D2Cとは、日本の「禅」の思想に基づいた製品設計と、ストーリーテリングを顧客コミュニケーションのコアにおいた「おもてなし」を、アフターデジタル流にインテグレートし、言い換えただけのものだ。
D2Cステージで学ぶべきはニューヨークより日本にある。
プロダクト開発ならユニクロや無印良品が余計な機能を削ぎ落とした「シンプルイズベスト」でありながら「高品質」や「哲学」を徹底的に追い求めている。よりシンプルで低価格を徹底的に貫いている存在なら、ダイソー、アイリスオーヤマなどがいる。
ビジネスモデルやストーリーはZoff、JINSが低コストで高品質なプロダクトづくりの道を切り拓いた。
コミュニケーションセールスは古くは再春館製薬所、やずや、山田養蜂場などが確立し、大手巨大メーカーが君臨する業界に風穴をあけた。
特にコミュニケーションセールスの領域は、日本は相当先端を走っていたはずだ。言い換えれば「直販」「リピート通販」「単品通販」と呼ばれる業界だ。彼らはまさにメーカーであり、メディアであり、テックであった。まさにD2Cそのものだったのだ。
彼らが選ぶ商材は、サプリメントや化粧品が多い。その理由は①利益率の高いこと、②コンプレックス商材ゆえにCVRと継続率が高いこと、③本質的には詐欺的な商品を作っても、顧客が気付かずに満足することがあり得ることだ。
だから業界を批判的に語る人たちも多いのは事実だが、国内に良くも悪くも参考になるマーケティング事例がたくさんある。むしろ、アナロジー的に取り入れられるという意味においては、日本国内の事例から参考にすべきことも多いはずだ。
一方で、コミュニケーションセールスの領域で作られたブランドは、「ブランド」というほどに成長しきったものは数が少ない。いやそこに「ブランド」はほとんどないとまで言い切ってもいいかもしれない。
サプリメントや化粧品における詐欺的な商売は結局長くは続かないということもあるだろうが、一方で彼らも彼らでUX(User Experience)にだけ留まり、CX(Customer Experience)を実現するほどの体験を提供できていたわけではないからだ。
日本人は黒船に弱い。海外からのムーブメントこそ世界最先端だと思いがちだ。しかし、自らが気づいていないだけで、世界最先端を走っているものは国内にまだまだある。
それにいち早く気づき、いかに世界に冠たる「ブランド」を作るかは、日本人にとっての課題でありながら、その武器を手にすればJapan as No.1, againも夢ではないのかもしれない。