既存事業と新規事業の求める「主体性」は全く違う

既存事業と新規事業の求める「主体性」は全く違う

ざっくりまとめると。。。
  • 新規事業には方程式もヒントもない
  • 「主体的に動く」以外に新規事業を成功させる方法はない
  • たった一人でもその事業を成功に導くためにやり切るという情熱と意志と覚悟と胆力を持つ

既存事業というのは、先人たち、先輩たちが積み上げてきた「方程式」を解くというのが仕事になります。組織の中には先人たち、先輩たちが残したヒントが数多くあります。

一方、新規事業にはヒントがありません。検討を進めるステップも、組み上がるビジネスモデルの難易度も、それぞれ異なります。都度都度の判断で行ったり来たりを繰り返すため、方程式は一切ありません

インサイトの抽出、ビジネスモデルの構築、そしてアクションプランを組み上げることを誰かとディスカッションをしたり、メンタリングされることによって導き出すこともできますが、それよりも何よりも基本的には「次は何をすればいいか?」は自ら考え、自ら決断し、自ら動く必要があります

新規事業で挑むの未来のマーケットの創造です。その未来は誰も到達したことのないものです。社長も役員も上司も先輩もメンターも顧客も、誰も到達したことがないがゆえに、誰もそこの答えを提示することはできません。

どれだけ主体的に動き、検証し、その結果を元に動くということを繰り返したかどうか。それだけが最後に「答え」に辿り着くことができる成功確率を引き上げる要因となります。

誰も見たことのない未来を切り拓くためには「主体性」は欠かせない

上司の指示はありませんし、上司は指示ができません。上司もその道を知らないからです。次に何をすれば良いか、わからないからと立ち止まれば、それは事業の検討が止まるだけです。誰も責任は取ってくれません。

メンターに聞いてもクリアな答えは返ってきません。抽象度の高い議論で方向性を見定めるまでしかできません。クリアな答えを導き出すのは、新規事業担当者自身です。

既存事業での仕事の仕方とは全く違います。既存事業において優秀とみなされたものは「賢者」でした。Best Practiceを知るものによるBest Practiceのトレースです。一方、新規事業で未来を切り拓くのはConnecting the Dotsする「遊び人」によるビジョンと、Entrepreneurshipを持つ「勇者」による決断です。

「遊び人」のビジョンと「勇者」の決断が未来を切り拓く

「主体的に動く」
これ以外に新規事業を成功させる方法はありません。

逆にいえば、主体的に動くことさえすれば、大企業にいるメンバーの優秀さと会社のアセットがあれば、新規事業を成功させる力はあるのです。

と、ここまでをいくら企業研修で話しても、メンタリングで話しても、大抵どの会社の新規事業部門の方達も「主体性」は持ちません。持てません。

「主体性」という言葉の意味に捉われているのだと推察します。既存事業部門でいわれている「主体性」と新規事業に必要な「主体性」は、まるで違う、ということをまず理解しなければなりません。

「前のめり」感の「深さ」がまるで違います。

新規事業において必要な「主体性」は、「たった一人でもその事業を成功に導くためにやり切るという情熱と意志と覚悟と胆力を持つ」ことです。たった一人でもは比喩ではありません。本当にたった一人でも、です。スタートアップの起業家と同レベルの主体性が必要です。

深く、深く、深く、前のめりであれ!

私は研修やワークショッププログラムを通じて、大企業の皆さんと向き合う時、参加者に対して何も期待はせずに挑んでいます。

例えば、「伴走する」というワークショップやメンタリングのお仕事をさせていただくとき、すごく乱暴な言い方をすれば、皆さんが主体性なくテキトーに4ヶ月の時間をこなしても、私には何の関係もないともいえます。

もちろん、伴走するのですから、参加者が主体性を持つこと、そして事業創造の成功に向けて全力を尽くすつもりでいます。

しかしその先で事業の成功に向けて、その先にある顧客の笑顔やハッピーのために、最後まで走り抜けるのは、事業に責任を持つ人自身です。だからその人自身に主体性を持たなければならないのは当たり前のことです。

また、同時に、目の前に前向きに話を聞いてくれる人を、共感させて、共鳴できなければ、新規事業を成功させるためのパートナーを巻き込んで、イノベーションの畝りを作ることなど到底不可能であるともいえます。

スタートアップの経営者になったつもりで、主体性に覚悟を持って、本気で取り組まなければ、成功に辿り着くことなどできないのです。

覚悟を持って本気で取り組まねば成功に辿り着くことはできない

1ヶ月でも3ヶ月でも6ヶ月でも、真剣に事業創造に取り組めば、見えてくる世界は変わります。

キングダムで王騎将軍が死の間際、主人公の信を馬に乗せ「将軍の見る景色です」と、歩兵と将軍が見えているものが違うということを伝えました。

将軍の見るは、将軍にならなければ見えません。しかし、それを擬似体験することはできます。そこでの学びを得るためにも、主体性を持って取り組む必要があるのです。

新規事業はそう簡単に成功しません。失敗から学びを積み重ねることだけが、成功に辿り着くための唯一の方法です。

いつかの成功のために、今目の前のことに主体性を持って、真剣に、情熱的に、執着して取り組む必要があるのです。

主体性を持って真剣に取り組めば必ず学びがある
ビジネスクリエイター、インキュベーター、アクセラレーター、コンサルタント。エンジニアとして、PHP/HTML/CSSのマークアップ言語によるWebサイトの制作、SEOエンジニアリング、アクセス解析アナリストを経験した後、IT領域の技術/潮流をベースとしたエスタブリッシュ企業向けのコンサルタントを経て、複数のIT企業にて、Web/アプリ系、O2O系、IPライツ系の新規事業立ち上げに注力。事業開発から経営企画業務まで、事業および会社立ち上げに関する業務を幅広く経験。また、シードフェーズのベンチャー複数社の立ち上げへの参画や経営戦略・組織戦略・PR戦略へのアドバイザリー、メンター、複数のアクセラレーションプログラムのメンターも手がける。