- プラットフォームはパーソナライズが機能的価値を高める
- 機能的価値の行き着く先は「みんなにとって良いものは、みんなにとってどうでも良いもの」
- 「個性」にフォーカスし、特定の価値観にバーティカルに深く刺せ
Google・Amazon・Facebook・Apple。それにMicrosoft、Netflix。
Baidu(百度、バイドゥ)・Alibaba(阿里巴巴集団、アリババ)・Tencent(騰訊、テンセント)・Huawei(華為技術、ファーウェイ)。それにByteDance (字節跳動、バイトダンス)。
アメリカはVC主導型のイノベーションで、中国は政府主導型のイノベーションで、世界を覆うプラットフォームが作り上げられました。
プラットフォームが実現しているのは、圧倒的な機能価値です。
例えばAmazonは、「品揃え」「低価格」「配送スピード」が誰にも真似できないほどに成長したがゆえ、誰も追随できないほどの規模に成長しました。
しかもそれは人間が有史以来不変に持ち合わせている欲望に紐づいているため、顧客のマインドシェアと強く結びつきます。
メガプラットフォームは「膨大な顧客」と「データ」がその強みとなり、パーソナライズドされたレコメンデーションが、機能的価値をさらに高めます。
一方、メガプラットフォームはその利用ユーザが巨大であるがゆえに「みんなにとって良いものは、みんなにとってどうでも良いもの」に陥りやすいというリスクがあります。
例えばAmazonのレコメンドは、確かにテントを買った人はよくマットやチェアー、ランタンも買っているでしょうし、レコメンドする意味はあるかもしれません。しかしそれらを既に持っている人にもレコメンドされます。あろうことかテントを購入した後にまでテントを延々とオススメし続けるのです。
プラットフォームが実現するパーソナライズドは、機能的価値によって「みんなにとってよい」は実現できても、個々人にとっての体験的価値・情緒的価値・自己実現価値は実現できないのです。
大量生産大量消費の時代は、人々が目指すべきライフスタイルとしての共同幻想があったため「みんなにとって良いもの」が「みんなにとって良いもの」でした。
しかしモノが溢れた現在においては、人々はそれぞれの価値観、特に自己実現・自己表現のために消費します。「みんなにとって良いもの」は「みんなにとってどうでも良いもの」なのです。
つまり、マイクロコミュニティに徹底的に向き合ったサービスは、プラットフォームを凌駕する価値、特に体験的価値・情緒的価値・自己実現価値を提供できる可能性があるということです。
そして、スタートアップはそこが攻めどころであり、巨大なプラットフォーマーがより拡大すればするほど、そこにビジネスチャンスが出て来るのです。
巨大なプラットフォーマーと戦うために、巨大なプラットフォームを最初から志向してはなりません。巨大な投資額と極度に洗礼されたオペレーションに太刀打ちなどできないからです。
まずマイクロコミュニティごとに徹底して向き合うこと。向き合った結果から得られたインサイトからソリューションを実現するサービスを構築すること。そしてそれをキラーアプリケーションとして、他のマイクロコミュニティの人々が羨ましがるほどのサービスを提供すること。
その先にプラットフォームに打ち勝つ光明が見えてきます。
もちろん彼らに買収させることを目指すのも一興だし、そこを起点に彼らを打ち負かすより壮大な戦略を描くのもまた一興です。
スタートアップにはそのビジョンを描く権利がある。
アフターデジタルは、巨大なプラットフォームが提供する圧倒的な機能的価値と、バーティカルにマイクロコミュニティに対して体験的価値・情緒的価値・自己実現価値を提供するサービスが両立する世界になるでしょう。