- デジタルが実現したのは、利便性や効率性などの機能
- 「機能」は手段でしかない。目的となるのは「体験」
- リアルでこその最高の体験が価値になる
デジタルネイティブ世代、インターネットネイティブ世代が当たり前になった昨今、事業やプロダクトを作ろうとするとき、強く意識しなければならないことがあります。
それは「デジタルやインターネットは手段であって、それそのものが目的にはなり得ない」という点です。
Amazonや楽天などこれまでのECは、多品種多品目のロングテール、いつでもどこでも変える利便性や効率性など、「機能」そのものに価値がありました。これがデジタルやインターネットが最初に実現したものです。
そして、D2Cブーム以降は、利便性や効率性は取り入れながらも、少品種特化と顧客体験による「ブランド化」が加わり、ブランド化の延長で体験としての店舗が作られるようになっています。
デジタルもインターネットもテクノロジーも、あくまで手段。だから、それらを取り入れることは大前提です。
しかし、「機能」は手段でしかありえません。目的となるのは「体験」です。
ユーザに深く潜り、課題に深く潜り、インサイトに深く潜り、ユーザの本当に求めている価値を知り、その先を読みユーザの体験を設計する。
特に、ECのように「機能」そのものに価値があったものを、一歩でも二歩でも先に進めようとするのであれば、リアルでの体験をいかにデジタルで実現するか、置き換えるか、強化するかなどは、必要不可欠な目線です。
それを突き詰めた結果、リアルだけで完結することも、利便性特化のネットサービスともまた異なる、独自の価値を展開する第3の道が拓けることもあるでしょう。
小売においては、ファミリーマートの「地域異常密着」や丸井の「売らない店舗」などの戦略がまさにそれです。
特に小売は物を売る商売からの「まさに過渡期」にあり、これまでの「右向け右」で顧客に押し付ける殿様商売の破綻をしっかり理解した上で、どんな顧客のどんな課題にどんな価値を提供するのかを、改めて再定義する必要があります。
いかにデジタル化が進もうとも、人間が生きているのはリアルです。
リアルでの接点が不要になることはありません。(電脳化されるその日までは)
だからこそ、リアルでこその最高の体験が価値になるのです。