- 次世代リーダーシップはビジョン・ミッションを情熱的に語り、メンバーが熱心についてきてくれること
- 歯車は指示待ちだが、夢は自立駆動にかきたてる
- 最速で最も効率的に目標に到達する努力を促す
このご時世、スタートアップ界隈にはビジョンを軽視する経営者は絶滅危惧種になってきました。
しかし、大企業などのエスタブリッシュカンパニーのビジョンは本当につまらないものばかりです。ワクワクすることはほとんどありません。
エスタブリッシュカンパニーはその安定性という虚像だけで「歯車」がいくらでも集まります。そして、オペレーションがしっかり組み上げられているがゆえにエスタブリッシュですから、歯車に不満があろうとも日々の仕事さえしっかりやってくれれば、大きな売上を上げることは可能です。
だから、ビジョンの必要性も、重要性も理解できないのかもしれません。
一方、スタートアップは、いつ潰れるかもわからない、そもそも成功するかもわからないものです。
そのとき、何をもってメンバーを集めるか。それは「ビジョン」です。スタートアップがメンバーに提供できるものが「夢」しかないのです。
しかし、蓋を開けてみれば、新価値創造、新事業創造は、スタートアップの方がはるかに成功確率が高いのが現状です。
その理由は明快で、歯車は指示がなければ動けませんが、夢は人を自立駆動にかきたてるからです。
ビジョンに共感した人は、その夢が大きければ大きいほど、ワクワクします。そして、自ら動かないといられない衝動に駆られ、とにかく行動します。例えどんな高い壁にぶち当たっても乗り越えようと努力します。何度も失敗し、何度も試行錯誤を繰り返します。その壁を乗り越えるまで、夢を叶えるまで、その困難の過程を楽しみます。
だから、スタートアップは、ビジョンしかないところから始まるのにイノベーションを起こせるのです。
一方、大企業の歯車たちは壁にぶち当たると、早々に諦めます。失敗をしたくないから。上司から減点され評価をさげられたくないから。自己保身のため、その壁を乗り越えられない理由を説明するために探すことに労力を使います。
だから、優秀な人が多く、ヒトモノカネのリソースが潤沢にある大企業は、イノベーションが起こせないのです。
大企業に必要な次世代リーダーシップは、ビジョンを語り、ミッションを共有し、情熱で周りを巻き込み、周囲の人が熱心についてきてくれることです。
イソップ寓話の「3人のレンガ職人」の話が参考になります。あなたは何しているのですか?と聞くと3人のレンガ職人が「レンガを積んでいる」「壁を作っている」「歴史に残る偉大な大聖堂を作っている」と答えたという有名な逸話だ。
もちろん「歯車」にとっては「レンガを積んでいる」と考えているだけでもいいのかもしれません。エスタブリッシュのオペレーションにおいて「歯車」にはそれが求められているのですから。
しかし、変化の激しい時代において、今日まで正しかったオペレーションが明日も正しく価値を出せるとは限りません。だからこそ日々今取り組んでいるオペレーションが最適なのかを考え、最適でないのであれば改善するというアクションをリーダーとしては望みたいものです。
だからこそ、「レンガを積んでいる」と仕事をしてもらうのではなく、「歴史に残る偉大な大聖堂を作っている」と思って仕事をしてもらわなければなりません。さすれば、細かいステップをいちいちマイクロマネジメントしなくとも、それぞれがそれぞれ自分のやり方で最速かつもっとも効率的な方法で目標に到達する努力をすることでしょう。
ビジョンを示すこと。「私たちが目指すのはここだ」とメンバーと共有できることが、次世代リーダーシップにとっては本当に重要なことなのです。そのために、ビジョンやミッション、目標、大切にしたい価値観などは、何度も、何度も、何度も繰り返して伝える必要があります。
ビジョンがなければ、そして、それがワクワクするものでなければ、イノベーションは絶対に成功しません。絶対に。