- コーポレートカルチャーは誰にでもわかる形で明確に定義し、明文化するべき
- 共感と仲間意識で同じ方向を向けるのは150名が限界
- 組織設計とコーポレートカルチャーの定義は経営者の腕の見せ所
コーポレートカルチャーというものは、決して何か一つの表現や言葉にまとまるものではありません。コーポレートカルチャーは、様々な価値観が混ざり合うことによって成立しています。
・創業者の「創業理念」
・企業が目指す「ビジョン」「ミッション」
・組織におけるあるべき姿を定義した「バリュー」
そして
・その組織にいる「人材の多様性」
そのため、コーポレートカルチャーは一言で表せるものでは決してなく、どこか一方の角度からだけで定められるものでもありません。
創業者や経営陣など会社側が決めて、上から押し付けてはいけないのです。それで作ろうとしているのは結果的にコーポレートカルチャーではなく、価値観の押し付けと軍隊型のマネージメントということになってしまいます。
かといって、人が集まったからカルチャーが自然と出来上がるというものでもありません。混沌の中から秩序は自然発生的に生まれないからです。
様々な価値観のバランスを積極的にとった先にあるのがコーポレートカルチャーです。そしてそのバランスをどの方向に定めるかが、創業者の創業理念であり、人事理念によるのです。
だから作り上げるのは難しい。もちろん初期は、150名ぐらいまでの組織であれば、共感と仲間意識で同じ方向を向いた仲間だけで組織づくりはできるでしょう。
人間がこの世に生まれ、農業革命により定住がなされたとき、ハーベストの分配や紛争の解決のために「法」が必要になりました。それが組織文化の始まりです。その限界が150名といわれています。
もちろん、組織や事業が拡大すればするほど、多様性の幅が広がります。許容すべきものが増えてきます。
そのとき、どこまで経営陣の「すべき」を押し付け、価値観の多様性を受け入れるのか。そのためにコーポレートカルチャーを明文化し、明確な線引きをしなければなりません。それがバリューやクレドといったものになります。
150名を超え、共感と仲間意識だけでチームマネジメントができない規模となったとき、「言わなくてもわかれ」は成立しなくなります。誰が見ても客観的にわかる指標として明文化は避けるべきではないのです。
事業成長を後押しするというゴールを見据えた上での組織設計とコーポレートカルチャーの定義は、まさに経営者の腕の見せ所です。
定量的に効果が測りにくい分、事業成長にコミットし、この大事な仕事を放置する経営者も多くみられます。しかしそれはオススメしません。チームが瓦解するリスクが、組織の規模が拡大すればするほど大きくなるからです。
そのリスクを最小化するためにも、また、共感と仲間意識で急成長した企業文化を定着・発展させるためにも、コーポレートカルチャーは誰にでもわかる形で明確に定義し、明文化するべきなのです。