- ロジックだけで構成された新規事業企画は、薄っぺらい
- ロジックは誰かを説得するために使うもの
- そして何より自分が絶対的な自信を持つために使うもの
新規事業開発やチーム運営のコンサルをやっていてよく感じること。
さあ新規事業の企画を始めましょうというときに、市場規模や市場動向、テクノロジーの進化、消費者の動向や流行、最近流行ったサービスなど、マーケティング・ロジックによって組み立てようとするケースをよく目にします。
新規事業企画をロジックで創るのは、まったくもって上手くいかない新規事業の作り方なのでオススメしません。
ロジックは過去の積み重ねの先にあるものです。ロジックとして整理できる世の中の潮流や事例は、あくまで過去のその時点に成立したものでしかありません。
また、ロジックというのは概念化や構造化、因数分解などを行って成立させるものですから、ロジックは表層を捉えるためには有用であるものの一つ一つの深掘りは弱くなります。
ロジックのみで構成された事業企画は、薄っぺらく、誰でも考えられるものにしかなり得ないのです。
新規事業とは、新価値創造です。世の中にない価値を創り出すことで、それに対価を支払うモチベーションが引き出され、ビジネスとして成り立つことを目指すものです。
過去に起きたものの焼き直しで、誰にでも思いつくものなど、対価を支払うモチベーションが引き出されるわけがありません。
だから、いつでも新規事業の企画の始まりは誰かの思いつきからで、その上でいかに深く潜り、かつ自身の価値観とシンクロさせるかが、最も大切なことであり、イントラプレナーが苦手とすることでもあります。
では、新規事業にロジックは不必要か、というと、もちろんそんなことはありません。ロジックは誰かを説得するために使うものです。
サラリーマンなら、上司を説得するために。同僚を説得するために。
起業家なら、投資家を説得するために、仲間を説得するために。
上司ならその事業企画を承認をしたり、さらに上へ提案をするということが可能かどうかの判断をしなければなりません。思いつきで承認はできないでしょう。上司が「それならイケるな」と思うような、もっともなロジックを組み上げる必要があります。
同僚に「それなら手伝ってもマイナスにならない」と、投資家に「それなら投資しても成長するな」と、仲間に「それならジョインして一緒に大きな価値を(ともすれば大きなキャッシュリターンを)実現できるな」と思わせ、自分のビジネスの共犯者を増やすためにロジックは必要なのです。
そして何より自分を説得するために。
この事業をやることで世界に大きな価値を提供できる、そして大きな事業が作り出せると自分が絶対的な自信を持つために、ロジックは組み立てる必要があるのです。
ロジックは、新しい価値を創造するものではなく、誰かを説得し、事業の失敗要因を排除し、失敗確率を減らすために使うものなのです。