9月2日に、キャズムを超えろ!の和蓮和尚さん主催のイベント「ネット家電キャズム会議第3回『健康家電とネットの今とこれから』」に参加してきました。
ネット家電キャズム会議の存在は知っていたのですが、参加は初めてです。前職で、健康・美容業界向けWeb制作をやっていたため、健康業界の動向は割と気になりますし、ネット家電も興味があります。Webがらみで家電はもっと面白くなると思うので、和蓮和尚さんの株式会社Cerevoは結構注目していたりします。
Contents
イベント内容
はじめに
- 会のテーマ
- 面白いものを触って・知って・租借する場
- 面白い人とコミュニケーションする場
- で、何かが産まれ出る”種”としたい。
- テレビとかプロモは百式でもやってるから、家電屋っぽいことやりたいよね
- ネット×家電が面白そう
- 作った”人”が見える家電やネットサービスていいよね
- 現状と可能性
- 会社を超えたコミュニケーション
- ネガティブは何も生まない
健康家電×ネット
- タニタヘルスリンク(株)代表取締役 坂井康展氏
- (株)タニタの子会社、ネットスペシャリスト
- 出身はネット系じゃない、外資系のコンサル会社出身
- 健康系でネット家電面白いだろうで転職、2年前
- 今年の5月に代表就任、それまでは事業部長
- 健康家電×ネット
- 健康機器のネット対応は必然だった
- 体組成。認知されてない
- 体組成計/ヘルスメーター
- ヘルスメーターという言葉はタニタの先々代が作った
- タニタが世界で初めて体脂肪計を作った
- 世界シェアNo.1
- 日本はオムロンが半分ぐらい
- 多数の測定項目、多様な切り口、測定後の判定やアドバイス
- それには、体重計の枠の中では限界
- 「はかる」と「見る」の分離は必然だった!
- 特定健診、特定保健指導のスタート
- メタボリックシンドローム対策
- 「動機付け支援(約15,000円/人)」「積極的支援(30,000円/人)」
- 検診結果・指導内容・結果の電子管理が義務化
- 「特定保健指導」という新しい市場(700億〜1400億円規模)が生まれ、その周辺産業でも同等程度の市場が生まれた
- 参入してくるプレイヤーが多い/健保組合にお金がなく義務化通りに発注してくれない
- 「指導内容、結果を電子かする」というところに需要が急増
- 世界的にも健康データの電子管理はトレンド
- EHR(Electric Health Record)、PHR(Personal Health Record)
- 病院/メーカ毎ではなく国が統一データを作ろうという動き
- Google Health、Microsoft Healthvault
- 医療・健康情報をネットワーク化し共有することで、「検査重複の無駄」をなくし「電子処方による業務効率化」を図る
- イギリス、カナダ、オーストラリアが先進事例
- 国ごとに医療制度が異なり、データが違う
- Google/Micorsoftはアメリカのデファクトスタンダードを狙っているのでは?
- 日本もPHRを国主導で進めている
- ネット対応健康機器の商品紹介
- タニタ ヘルスプラネット
- クリエイティブヘルス 三健人 NTTデータ/オムロンヘルスケア
- 東芝 カラダのみはり番ネット
- ライフキャリア ソフトバンクリブラ
- au Smart Sports Run&Walk
- 任天堂 Wii Fit
- 計量法という法律があり、体重表示するときには従わなければならない
- 体重を図った機械そのもので体重を表示しなければならない
- Wii Fitは国から特例をもらっているらしい
- 2007年3月 ヘルスプラネットの後継としてからだカルテをスタート
- 赤外線通信、Bluetooth、特定小電力無線
- 特定小電力無線の機器をデモ
- 有線でハブ的機器をネットに接続。乾電池駆動でWifiは厳しい
- DHCPの割当があれば使えるが、サポートできないためFLET’Sと組んだ
- 特定小電力無線は、周波数が低いからコンクリの壁でもバスバス抜ける
- 店頭で購入ではなく、工場で機器をペアリングしてから出荷してる
- 追加は?シリアルナンバーで管理 生産管理は大変
- ネット家電のめんどくささ
- ヤフオク/中古で譲渡されたらどうするのか、シリアル管理
- どうやって販売するの?受注から販売までの管理
- 体は、骨+筋肉+脂肪
- 食べても太らない人は筋肉が多い
- やせてもすぐリバウンドする人は、筋肉だけが落ちてしまっている
- 筋肉は基礎代謝を司る
- サイトのコンテンツ
- 歩数計(3次元センサーで歩数を取得)をつかってランキング競争
- 「万歩計」は商標、歩数計
- ポイントプログラム
- 体重を毎日量るとダイエット効果がある(NHK「量るだけダイエット」/岡田斗司夫「レコーディングダイエット」)
- ポイントをネットマイルで交換できる。上限無し
- 継続が重要、人参としてインセンティブを与える
- 何かを達成するとポイント 体重が多い人が適正体重になるとプレゼントとか
- 管理栄養士のアドバイス、食事診断をしてくれる
- 「世界で10億人が肥満で苦しみ、10億人が飢餓で苦しんでいる」、1kg痩せるといくら寄付
- ブログパーツ
- 歩数計(3次元センサーで歩数を取得)をつかってランキング競争
- 個人向けサービスだけでなく企業向けサービスもやっている
- からだカルテ、デザインカスタマイズ
- データ連携
- タニタのDBのデータを、ID入力でデータ提供をしている
- 例)LietaCafe
- 人の一生涯をモニターする健康機器群の追加を目指す
- マタニティー体重計、羊水の重さを除いた子供の体重が分かる
- 子供の体脂肪計、小児肥満
- 尿糖計
- 車いすで体重を計測
- お腹周りの脂肪がわかる
- 息を吹きかけるとアルコールがわかる、ドコモ
特定健診、特定保健指導がスタートすることがわかったときには、前職で健康食品業界の企業がクライアントにいたので注目していました。そのときは気付きませんでしたが、確かに、健康家電メーカにもこうして影響していたんですね。
出荷前に機器をベアリングするのは相当面倒ですね。素人考えですが、Wiiの本体とコントローラのベアリングのように、機器同士で行うというのは簡単にできないんでしょうか?例えば、歩数計などは、割と持ち歩くものだから、家でも会社でも、ハブ装置にベアリングするだけで、自分のデータとしてネットにアップされるとかの方が便利な気がします。(健康データってリアルタイムでアップする必要は全然ないような気もしますが)
API活用案ブレスト
からだ管理データの活用方法として、データをAPIを通して提供し、面白いサービスはできないかというブレスト。
周りはブレストしていましたが、ぼくは声かけることができず、一人で考えていました。人見知りは辛いよ。できれば、自由にというよりも、強制的にグループ組んでブレストするように指示してくれた方がよかったなーと思いました。百式の田口さんのイベントみたいに。
Google Maps+健康データAPI
ぼくが考えたのはこれ。
- Google MapsというWebサービスに、体重/現住所のデータを送って、マッピングをする仕組み。危険地域とかがヒートマップ表示されると楽しいと思う
「これにデータを提供するユーザーのインセンティブは何?」と、和蓮和尚さんの問いかけがありましたが、会場で応えることができず・・・。(もっと積極的に発言できるようにならないとダメですね)
フォローしますと、ぼくが考えたのは、タニタさん側が個人情報と結びつけない形で、ローデータを提供するというイメージでAPIを捉えていました。つまり、ローデータを使って、なんか面白いビューを作って!というスタンスで、ラボ的にAPIを提供する感じです。そのローデータ+Google Mapsで、この地域は肥満がいっぱいというのが一目でわかるヒートマップ表示とかで、見た目的に面白いことができるんじゃないかな、と思った訳です。
その他、会議中に出たアイデア
- リアルスーパーサイズミー。体重、体脂肪データを表示
- ニコニコ動画とに心拍数のデータを送ってドキドキ感を共有。盛り上がっているのは自分だけなの?
- SNSに体脂肪率、運動量などのデータを送り、ある一定の基準をクリアした人だけが参加できるコミュニティを作る
- 金融系サイトに、運動量を送信。売買を行う金額に比例した運動を行わないと売買が行えない
- OpenIDなどにデータを送り、医療機関などで共有
- トップモデルのデータ公開
- 地図サイトに歩数計と歩数データを送り、オススメジョギングポイントを共有
- 芸能人DBにデータを送って、自分がどの芸能人かを判定
- 体重の数値を強制的にtwitterにポスト
- 体内の血中アルコール濃度を測る機械で、アルコール濃度、疲労度、睡眠時間などを多角的に分析し、今日のおすすめアルコール、どれくらい呑んだら酔っぱらうかをレコメンド
- 歩数計でがんばったぶん本日食べれるお菓子が表示
- 育成型で人が成長していく。成人したら飢餓で苦しんでる国に食料を寄付
- 三軸歩数計を利用して、筋トレの種類を自動判別。マッチョなアバターが成長する筋トレマニア向けサービス
- 運動量や減量に応じたて孫や家族にプレゼントが贈れる
- 高齢者が同じような健康状態の人と一緒に健康管理できる出会い系サイト
- ウイイレなどで、自分の健康パラメーターに応じてカスタムプレイヤーを作成/制限
- リアルにボクサーの試合前の数値を知りたい
- 旅行で体温計、心拍数などで客のリラックス度を測定
- 地図サービスに体重体脂肪を送って各地域ごとの総体重を表示。地方自治体のメタボ対策度合いが分かる
- 食べたものをおくると、見ず知らずのひとが運動してくれる
- 生命保険と連携、保険料が変わる
歩数計+PlaceEngineって面白そう
イベント中には思いつかなかったのですが、他の人の意見を見て、帰り際に思ったのが、歩数計+位置情報って結構面白いことができるんじゃないかな。そういう意味で、今ぼくが働いている会社の投資先でもあるKoozytのPlaceEngineなんかは、まさにベストフィットな技術のような気がします。
PlaceEngineは、WiFiのビーコンをキャッチして位置を測定する技術で、GPSよりも室内や地下での精度が非常に高い。WiFiのアクセスポイントがない場所では測定できないのがネックだけれど、都内ではGPSよりも精度が高い位置測定ができる。
歩数計にPlaceEngineを仕込んでおいて、自動的に位置測定をしてロギングするようにしておく。そうすれば、ジョギングしただけで歩数の他に、経路や位置も測定できる。これをマッピングすれば、その日のジョギングコースを俯瞰することができる。
さらに登高データと組み合わせれば、どのくらいの上下運動をしていたかをグラフ化することもできそう。
これに年齢とか体重とか体脂肪率とか掛け合わせれば、その日の運動が足りなかったのかとか、次の日はどのくらいの距離を走ればいいとか、もう少し登高差のないコースを走るべきとか、そういったアドバイスもできるんじゃないだろうか。
いろんな人のジョギングデータが集まれば、あなたのベストコースとかもリコメンドできたりしそう。
すごいアイデアが浮かんできた。これ企画提案としてタニタヘルスリンクさんに持っていこうかしら。
ただ、帰り際急いでいたのと、坂井さんとの名刺交換に列ができていたのとで、名刺交換できていません。あちゃ・・・。
質疑応答
- 買い替え需要は少ないは少ないのでは?
- 体重計などは人が乗ってもいいように作られているので壊れにくい
- 今買った方がいつまでも使えるように
- 需要に応じて、普及させていくように
- PC経由して、携帯使ってはハードルが高いのでは?
- 別の機器を経由するのはハードルが高い
- 一手間が購買意欲をなくす
- 外部で確認する事に意味はないのでは?
- 小さな機器にデータを入れて、ハードウェア的な、SDカードとか
- 蓄積されたデータに意味があって、ネットに置く意味はないのでは?
- その方がシンプルでは?
- 販路は?
- ネット家電を売るのが辛いところ
- 「説明商品」
- 数字で伝えられるのは量販店で売れるのだけれど・・・
- 使ってみたらどうだったという意見が非常に重要
- テレビショッピングがこれからくるのではないか
- 社内評価は低い「体重計をネットに載せてどうするんだ」
まだまだ課題はあるようですね。ネット家電しかり、健康家電しかり。これからが楽しみです。
まとめ
興味があったとはいえ、情報にすら全然ノータッチだったネット家電。非常に興味が湧きました。Webからのアプローチとして何かしら関わりが持ちたいなと思いました。
和蓮和尚さんがおっしゃるように、何かしらAPIを公開していただければ、物好きなギークたちが面白いものを作ってしまうような風潮が熟成されつつあるので、ぜひタニタヘルスリンクに限らず、ネット家電業界の方たちは、ラボ的にでもAPIの公開をしていただきたいと思います。
和蓮和尚さんも「キャズム会議 Vol.3終了 まとめ」でレポートを公開していましたので、そちらもご覧下さい。