大企業において、新規事業として破壊的イノベーションを産むためには、上司の指示に従ってはいけない。絶対に。
なぜならば、既存の事業がまわっている企業であればあるほど、あなたに指示を出している上司は、破壊的イノベーションの経験が皆無だからだ。
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企業の成長ステージにおけるマネージメントレイヤーの役割
以前、成長ステージごとの経営者の新規事業に対するスタンスについての記事を書いた。
主力事業が企業の成長ステージとイコールとなる状況において、この成長ステージそれぞれにおけるマネージメントレイヤーの役割をみてみる。
(a) Seed Stage 〜 (b) Early Stage: 破壊的イノベーション
シードステージ〜アーリーステージでは、破壊的イノベーションを創出することが求められる。
そのため、マネージメントレイヤー自身が事業そのものにコミットする。市場にまだない新しい価値を創出し、事業そのものを成長させることに注力する。
(c) Middle Stage: 持続的イノベーション
ミドルステージでは、成長が軌道にのりはじめ、持続的イノベーションが求められることから、事業そのものへのコミットから、マネージメントへのコミットへと移行しはじめる。
創出された市場/事業において、純利益の拡大を目指し、ヒト・モノ・カネのリソースを活用し、レバレッジをかけるための仕組みづくりに注力する。
(d) Later Stage: 効率的イノベーション
レイターステージでは、事業の成長が頭打ちになり、効率的イノベーションが求められることから、オペレーション最適化へのコミットへと移行する。
単純作業を排除し、コストカットし、効率的に利益をあげられることを目指す。
そして、破壊的イノベーションへ
Later Stageの末期から、Shrink Stage、Death Stageへうつるにつれ、既存事業を伸ばすことは難しくなっていく。
ここでは、新たに「コア」との事業創造が求められるため、破壊的イノベーションをおこさなければならない。
あなたの上司は破壊的イノベーションの経験者ではない
既存事業を長期間運営している企業であればあるほど、マネージメントレイヤーは破壊的イノベーションの経験者ではない。そのポジションに就任したタイミングは、Middle Stage以降だからだ。「出世」という意味で会社にとって評価されたのは、持続的イノベーションや効率的イノベーションに対する成果なのだ。
そのため、新規事業に対して、マネージメントレイヤーがクチを出してきたとしても、それが正しいものとは限らない。むしろそれは、持続的イノベーションや効率的イノベーションの成功体験にのっとったものであるから、破壊的イノベーションにとっては間違ったものであることが多い。
本気で破壊的イノベーションを産みたいのであれば、上司の指示に従ってはいけない。