- データではなく直感・直観による仮説設定が、未来の扉を開く鍵となる
- 「良い子」ではなく、「反逆者」として普通や常識に抗う力が必要
- 1を10に、100に成長させるのがロジックなら、0から1をうむのがアート
STEM(Science、Technology、Engineering、Mathematics)は、人類の進歩のために必要不可欠です。しかし、それで十分ではありません。
なぜなら、STEMは課題を解決する手段に過ぎないからで、そもそもその前に必要となる課題発見や仮設設定はできないからです。
課題発見や仮設設定をするのはあくまで人です。今の常識や普通といった「当たり前」を否定してみるマイノリティの価値観です。つまりそれは「人文科学」の領域です。
人の心や人の行動は、ビッグデータなどで統計的に分析することはできますが、真に理解すること、その裏にある真の課題に辿り着くことはできません。「因果関係」「コンテクスト(文脈)」など、データとして「そこに無いもの」を考え、それを元に仮設を設定するのは、人にしかできません。
そこでは「仮説検証」が主体となります。仮設を設定できることこそが、人を人たらしめ、人をこの地球上で最も繁栄する生物にした要因の一つなのです。
自然科学が「分解の科学」、社会科学が「近似の科学」なのに対し、人文科学は「体験の科学」です。
仮説を設定するために必要なのは、自ら体験したことや、他人が体験したことを観察することで、学びを得ることです。
学び=インサイトを抽出するためには、ロジックで物事を考えるのではなく、アートで物事を観る力が不可欠です。
目の前にあるただの円が、角度を変えてみたら球体かもしれないし、円錐かもしれないし、円柱かもしれない。またたまたま円に見えてるだけの全く別のものかもしれない。
そこを想像するために必要なのは、アートな思考なのです。「良い子」として普通や常識に当たり前に染まるのではなく、ある種「反逆者」として普通や常識に抗う力が必要となるのです。
イノベーションを起こすために、リーンスタートアップやデザイン思考、アジャイル開発などの「スタートアップサイエンス」のような手法ももちろん大切です。
しかしそれは過去の成功や失敗から組み上げられたロジックです。ビジネスをグロースするために使えるかもしれませんが、0から0.1を生み出すことはできません。
0から0.1を生むために、イノベーションを起こすために本当に大切なのは、課題を発見し、人を観察し、仮設を設定することです。それが全ての始まりになります。
そしてそのために必要なのがアート思考なのです。