- 企業が考えるニーズと、実際の顧客ニーズは、基本的に乖離している
- だから、徹底的に顧客目線で既存サービスを使い倒してその中の「不」を自ら経験する
- 不安でも、一歩前に出す。そこで失敗してもいい。失敗からも学びは得られる
toC向けのサービスにしろ、toB向けのサービスにしろ、初期仮説として設定したビジョンやプロブレムがそのまま本当に当てはまることは大抵ありえません。
起業家や新規事業の担当者などの企画者が頭の中で考えていることと、実際の顧客の間には必ず何かしらのズレが生じます。
“企業が考えるニーズと、実際の顧客ニーズは、基本的に乖離している”
ー ピーター・ドラッカー(経営者)
そのズレを明確にする方法は、シンプルには3つです。
1つはその業界のプロフェッショナルの話を聞くこと。
プロフェッショナルとは、その道を極めた人のこと。極める過程において、様々な紆余曲折や仮説検証を繰り返してきています。
なのでプロフェッショナルに話を聞くとショートカットに役に立ちます。
しかし同時に、プロフェッショナルとは井の中の蛙でもあるわけですから、業界慣習に引き摺られ、見誤る可能性もあることには留意が必要です。
もう1つは顧客に聞くこと。
デスクで妄想したペルソナを作ることに何の意味もありません。それは実在しないのですから。
徹底的に顧客に聞きましょう。顧客を目の前にしてインタビューを繰り返すことほど有益なことはありません。
大切なのは「事実」にのみ着目すること。なぜならば、顧客は自分の課題とそれに対するソリューションは知りません。
だから顧客の望む言葉をそのまま真に受けてはいけないのです。
あくまで顧客の行動や感情などの事実だけに着目する。
そこから、インサイトとして課題とソリューションを考えるのは事業企画を立案する人の腕の見せ所です。
“もし私が人々に何がほしいのかと尋ねていたら、人々は早く走る馬がほしいと言ったことだろう”
ー ヘンリー・フォード(フォード・モーター創業者)
最後の1つは、自分自身が顧客になること。
徹底的に顧客目線で既存サービスを使い倒してその中の「不」を自ら経験すること。
自身がターゲット層なら自身が、自身がターゲット層でないなら自身の中に顧客を憑依させて既存サービスを徹底的に使い切るのです。
外から眺めるよりは、自らの目でみて、肌で感じる方が、得られるものが大きいことは火を見るより明らかでしょう。
この3つのポイントを意識することで、やるかやらないかを拙速に判断してしまうではなく、「どうすればできるか」「どうしたら解決するか」と実現に向けた方法を先に考えることができます。
事前に考え抜くことはもちろん大切です。しかし「捕らぬ狸の皮算用」をしていても正解に辿り着くことはありません。実証して初めて、仮説は仮説たらしめるのです。
しかし、仮説はあくまで仮説であり、妄想であるため「本当にそうなのか」という不安はどうしても付きまといますし、その状態で決断は中々下せないものです。
そこで大切なのは、「不安は拭い去る必要はなく、同居させたまま進めばいい」ということです。
不安でも、一歩前に出す。そこで失敗してもいいんです。失敗からも学びは得られる。
そうして一歩づつ一歩づつ前に進むことが、成功への道となるのです。