レッドオーシャンの波には絶対に乗るな 〜シェアリング・エコノミーの語られない闇

ざっくりまとめると。。。
  • C2C系P/F上では機能的価値しか提供できないためレッドオーシャン化する
  • プレイヤーはP/F外での活動も欠かさず行う必要がある
  • プラットフォーマーはブランドに繋がる価値をプレイヤーが提供できるか考えるべきだ

どんなサービスも「機能的価値」は、競合他社に真似されやすく、必ずコモディティ化してレッドオーシャンに突入します。レッドオーシャンとは際限のない価格競争のこと。機能が横並びなら、ユーザーが選ぶのは間違いなく「安い方」になるからです。

本来、それを避けるために「情緒的価値」「体験的価値」「自己実現価値」などを積み上げた上で「ブランド」を構築します。機能が横並びでも、ブランドへのロイヤリティが高ければ、価格がちょっとぐらい高くても選バレます。時には価格が圧倒的に高くても選ばれるのです。

顧客と向き合い、徹底的にコミュニケーションをとり、カスタマー・サティスファクション(顧客満足)とカスタマー・サクセス(顧客成功)を実現する中で、如何にして顧客との関係性を構築するかが、単なるサービス提供者に終わるか、ブランドが確立されるかの鍵となります。

昨今、シェアリング・エコノミー、ギグ・エコノミーがバズワードになる中で、C2C系プラットフォームでは、仮にプラットフォームそのものに「ブランド」ができたとしても、そこに掲載されたモノにはブランドは作られません。C2C系プラットフォーム上のプレイヤーがレッドオーシャン化するのは必至です。

フード宅配サービスの宅配員、配車サービスの運転手、クラウドソーシングのワーカーなど、それそのものにロイヤリティが貯まるわけではありません。そこで働く人がいても、あくまでサービスを構成する1パーツに過ぎないのです。

だから、そこで働こうとしているプレイヤーは、最初期に参加したわけではない限り、レッドオーシャンの波に乗ろうとしているということを自覚しなければなりません。その波が高くなればなるほど、搾取される対象へと成り下がっていくのです。プラットフォームの上でいくら頑張っても、ごく一部のプレイヤーしかブランドは確立されます。その他大勢はあくまでプラットフォーム・ビジネスの歯車と化してしまうのです。

それゆえ、C2C系プラットフォームで稼ごうと考えるのであれば、ブランド化はSNSなどを活用して、プラットフォーム外での活動も欠かさず行う必要があります。それが出来ないのであれば、レッドオーシャンの波には乗ってはいけないのです。つまり大多数の人はその波には乗るべきではないのです。

アフターデジタル時代であっても、人がアナログでやる価値は絶対にあります。テクノロジーがどんなに発展した社会でも、人じゃなければできないこと、人がやる方がいいことは当然あります。しかし、それが「誰でもいい」ものならば、そこはレッドーオーシャン化は避けられず、低賃金でこき使われ、搾取される人たちが生まれることは当たり前です。

C2C系プラットフォーマーは、本来そこまで含めてしっかりビジネスを構築しなければ、サスティナブルにはなりません。いくら低賃金の代替可能性の高い歯車であっても、それがなくなればビジネスが成立しないのだから。

プレイヤーが如何に機能的価値だけでないブランドに繋がる情緒的価値、体験的価値、自己実現価値を如何にプレイヤーが提供できるか、それを如何に蓄積していけるかまで、プラットフォーマーは思いを馳せるべきです。

ビジネスクリエイター、インキュベーター、アクセラレーター、コンサルタント。エンジニアとして、PHP/HTML/CSSのマークアップ言語によるWebサイトの制作、SEOエンジニアリング、アクセス解析アナリストを経験した後、IT領域の技術/潮流をベースとしたエスタブリッシュ企業向けのコンサルタントを経て、複数のIT企業にて、Web/アプリ系、O2O系、IPライツ系の新規事業立ち上げに注力。事業開発から経営企画業務まで、事業および会社立ち上げに関する業務を幅広く経験。また、シードフェーズのベンチャー複数社の立ち上げへの参画や経営戦略・組織戦略・PR戦略へのアドバイザリー、メンター、複数のアクセラレーションプログラムのメンターも手がける。