- 日本人は高度経済成長の「みんな同じ」の亡霊に取り憑かれている
- 人と人との課題や組織の課題は「相互理解の不足」が原因
- 多様な価値観を組織内に内包することが変化への対応度をあげる
人は生まれも育ちも違います。異なるシチュエーションにあり、異なる価値観を持っています。同じような顔をして、同じ言葉を話していたとしても、価値観は異なります。
同じような顔をして、同じ言葉を喋る人ばかりの日本人は、高度経済成長の社会主義的な「みんな同じ」の亡霊に取り憑かれています。
確かにあの頃はモノが足りない時代でした。だから三種の神器のような共同幻想があり、みんなが同じライフスタイルを求めて一生懸命生きていました。つい「みんな同じ」と勘違いをしてしまう状況にあったのは確かです。
しかし本質的に人の価値観は違うものです。
人と人との課題や組織の課題は、そのほとんどが「相互理解の不足」から来ます。ナラティブやコンテクストを軽視し、それぞれの価値観が異なることを理解せず、自分にとっての正論をぶつけるということが課題の根幹にあります。
その課題は「正論」をぶつけ合っても解決するものではありません。自分にとって「既知」の知識・方法論が、必ずしも相手にとっても「既知」ではないのです。だから「正論」で解決できるものなど何もないのです。
その課題を解決したいと思うのなら、まず大前提として「人は分かり合えないもの」ということを理解しなければなりません。
もっとも課題が起きやすいのが、日本人お得意の「空気を読め」です。それは確かに大多数にとっての「正論」であって当たり前のことかもしれませんが、それを当たり前とは思わない人は厳然と存在します。その存在を無視して、「空気を読め」といっても読めるわけがありません。物理的に存在しない読めないものを読ませるなんて、酷い同調圧力です。
「みんな違って、みんないい」
変化の激しい時代にダイバシティは必要不可欠です。多様な価値観を組織内に内包することが、変化への対応度をあげるために必要です。
「人は分かり合えない」をスタート地点にし、「空気を読む」ことを禁止することが、多様性を許容した関係性の中でコミュニケーションを円滑にするために必要なのです。