- Functional Valueはコモディティ化し、レッドオーシャンになる
- 事業領域は「顧客像」でフォーカスすべき
- 既存事業にカニバるイノベーションも展開するインセンティブになる
プロダクトが顧客に提供する価値は5種類あります。
- Functional Value=機能的価値:プロダクトの持つ機能そのもの
- Experiencial Value=体験的価値:プロダクトによって顧客が為す体験
- Emotional Value=情緒的価値:プロダクトによって顧客が変化する感情
- Self-fullfilmental Value=自己実現価値:プロダクトによって顧客が成る状態
- Social Value=社会的価値 :プロダクトによって得られる社会的ステータスやコミュニティ
Functional Valueは必ずコモディティ化します。プレイヤーが1社しかいなければ、機能そのものが独自性となりますが、競合が参入すればオリジナリティは薄れます。そして、価格競争というレッドオーシャンに突入してしまいます。そして技術革新が早い昨今、想定以上の速度で同じ機能を廉価に代替されたり、より上位の機能により置き換えられます。
顧客に対してFunctional Valueしか提供していないビジネスは、その価値が世に出た瞬間から目にも留まらぬ速さでゼロに収束していき、別の機能によって顧客のジョブを充足するプロダクトによってディスラプトされます。
Functional Valueでコモディティ化せずに勝者になり、勝ち続けるためには…
- 圧倒的でNo.1の技術力を追求し、その技術力によって機能を実現し、その機能を維持し続ける
- その技術者が裏切り、産業スパイと化さないよう、環境・文化・インセンティブを整える
- 技術移転なども含めて盗用されないよう、秘伝のタレを守り抜く
しかし、それをやったとしても、レッドオーシャン化やディスラプトは避けられません。技術は顧客のジョブを解決し、顧客満足を実現するための十分条件とはなりえますが、必要条件とはならないからです。
つまり、自己の事業領域はFunctional Valueで定義してはならないのです。それは井の中の蛙が自ら井戸を小さめにするのと同義で、蛙が泳ぐ範囲は狭い領域に限定され、変化に対応できなくなります。
事業領域は、Experiencial Value、Emotional Value、Self-Fulfilmental Valueで定義すべきです。つまり、事業領域は顧客像にフォーカスすべきなのです。井戸は無限に広がる大海となり、世界へ大きく羽ばたき、未来を変えることができます。もちろん、顧客の存在が確かであれば、という条件付きですが。
それにフォーカスすれば、顧客はファンとなり、エヴァンジェリスト となり、プロダクトがブランドに昇華します。すると顧客はそう簡単に代替品に鞍替えしなくなります。いわば多少値段が高くても買ってくれるようになるのです。
また、そうなると「井戸が無限に広がる」の真意として、既存事業に固執する必要がなくなるのです。既存事業とカニバり、自らをディスラプトするような事業にも積極的に展開するインセンティブがそこにはあるからです。
事業領域を、顧客のサイコグラフィックスによって定義し、顧客の未来を作りましょう。
それこそがサスティナブルな経営のあるべき姿です。