- 継続的に付き合うことでカスタマーサクセスの最大化をステップとして実現できる
- カスタマーサクセスを最も実現しやすいコミュニケーションセールス
- 顧客の心に寄り添うことができる
売り切り型からサブスクリプション型への移行が、特にソフトウェアの分野を中心に、またD2Cブームと相俟って様々な領域で増えてきました。猫も杓子も、と表現しても良いかもしれません。
MicrosoftのOfficeはもうサブスクリプションが中心だし、Adobeもサブスクリプションに移り、Appleもハードウェアメーカーからコンテンツ企業への転換の可能性を模索しています。
サブスクリプションへのビジネスモデルの移り変わりは、様々な技術革新や消費トレンドに要因があります。
・「所有しない」というミニマリズムの普及
・スワイプ世代は、じっくり選んで買うよりも、サクッと試してダメならやめるという消費行動を好む
・スマフォの普及に伴い、新機能を随時アップデートするというUXが顧客に当たり前に浸透した
・ハードウェアのスペックなどのインフラの技術革新により、製品の高機能化ができたが、付随してパッケージソフトの値段が高くなり、販売数が低下した
・インターネットの回線速度の向上などの技術革新により、どんなサービスもクラウドで提供できるようになった
・サブスクリプションならコピーリスクへの対策が容易にできる
・結果として、サブスクリプションという支払い方法への心理的ハードルが下がった
などなど。
製品のカテゴリーによっては、サブスクリプション以外の販売方法が成立しなくなる可能性も見えてきました。
確かに昨今の顧客のサイコグラフィクスとビジネスモデルが非常にマッチした結果のブームだと言えます。
バズワードのように流行った結果、どの企業もこぞって参入を考えていますが、そのビジネスモデルばかりに着目され、その本質を正しく捉えることはあまり出来てないようにも感じます。
サブスクリプションサービスの最大の利点は「継続的に付き合うことでカスタマーサクセスの最大化をステップとして実現できること」です。つまり、「カスタマーサクセスを最も実現しやすいコミュニケーションセールス」ということです。
顧客はどんな商品もその「機能」だけを持って価値を見出し、お財布を開くということはなくなりました。今の顧客が求めているのは製品を手にした時に訪れる「自分の価値観にあう体験」という体験的価値であり、「自分の人生のクオリティ向上」という情緒的価値であり、「あるべき自分の姿を実現する」という自己実現価値です。その対価としてお財布を開きます。
そのときサブスクリプション以前では、たった1回購入するだけでカスタマーサクセスを実現し、次の利用に繋げなければなりませんでした。しかし、どんな商品もどんなサービスも購入した「点」の接点だけで、情緒的価値や自己実現価値を最大化することはほぼ不可能です。
人は皆、人生というストーリーを生きています。それは点ではなく、物語という線であり、面です。そのほんの一瞬の点だけで顧客と接点を持ったところで、最大化できるわけがありません。
その点、サブスクリプションサービスはそもそもが継続が前提となるため、顧客と線の接点を持ち続けることができます。継続的なコミュニケーションが取りやすく、累積的UXへのアプローチによってそれを面に立体にと展開がしやすいのです。
継続的に届く商品を通じて、だけでなく、商品とともに届く同梱物、メールマガジン、そしてクロス商品などを通じて、顧客との接点を線に面にすることで、情緒的価値、自己実現価値を最大化することを、継続的に寄り添って実施することができます。
一般的な点での接点のセールス手法と比べて顧客と常に寄り添うことができるので、情緒的価値、自己実現価値を最大化することが可能なのです。
だから「カスタマーサクセスを最も実現しやすいコミュニケーションセールス」なのです。
この本質に理解すれば、施策として何が重要なのかは自ずと見えてくるはずです。そして、そこにフォーカスすることで数千万→5億→10億→20億→40億→80億と売上は倍々ゲームのように増やすことができるのが、サブスクリプションビジネスの特徴でもあります。
もちろん理屈は簡単だし、施策を立案することもそれほど難しくありません。しかし、顧客の「心」に寄り添うことが一番難しいのです。本当に寄り添える状態に辿り着くまでは長く苦しい旅路は避けられません。