- スタートアップサイエンスは手法であり、成功を約束しません
- 0から事業のタネを見つけるために必要なのはアートだ
- アートとは見えないものを見ることで、見えないものを見えるものに表現する方法
リーンスタートアップやデザイン思考、アジャイル開発などスタートアップサイエンスの手法が持て囃されていますが、本質を勘違いしてはなりません。
スタートアップサイエンスは手法です。成功を約束しません。そして、イノベーションの種を産み出すことも約束しません。
スタートアップサイエンスは、0→1、1→10においてあくまで「失敗確率を下げる」手法です。
スタートアップサイエンスよろしく、リーンキャンパスをうめる作業をしたり、ユーザーの観察やインタビューをする作業をしたり、カスタマージャーニーマップをつくる作業をすることに意味はありません。
ビジネスモデル症候群と同様、それはスタートアップサイエンス症候群です。作業に終始してもイノベーションはうまれないのです。
そもそも、スタートアップサイエンスは0→1のメソッドではありません。
0.00000000001という事業のタネが見つかった時に、そこから事業を育てていくために失敗確率をいかに下げるかという手法ではありますが、0から0.00000000001にする手法ではないのです。
0と0.00000000001には大きな隔たりがあります。そして多くの人はこの隔たりを乗り越えられません。乗り越えられずに諦めるか、乗り越えていないのにスタートアップサイエンスに取り組んでいる人の方が多いのです。
0から0.00000000001への壁を乗り越えた人だけが世界を変えるイノベーションを達成しています。
そのために必要なのは「アート」です。
・世界を自分以外の視点で見つけられるか
・認知バイアスを外すことができるか
・物事を真正面から、斜めから観察することができるか
・想像の罠から離れてより時間をかけて観察し、正確に頭の中にインプットできるか
・流し読みではない自分のためのインプットがきちんとできるか
・インプットをアウトプットに転化できるか
・アウトプットを身体性を使ってできているか
・自身自身の心とどう向き合うか
アートとは見えないものを見ることで、見えないものを見えるものに表現する方法です。
見えない(人々の気づいていない)社会の課題に気づき、未だないその解決策をプロダクトとして世の中に届け、課題に直面している人たちをハッピーにするイノベーションは、まさにアートそのものなのです。
もう少し噛み砕いていえば、「しっかり観察して、手を動かす。その繰り返しによって、観察力と感性を活性化させること」が、イノベーションにとって重要なのです。
それで見えたもの、表現できたものがプロダクトになったのなら、そこからはスタートアップサイエンスの出番です。0.00000000001を1にし、1を10に、100に、1,000にしていき、世界を変えていきましょう。
日本人はもっとアートと向き合う時間を増やしたほうがいいです。子供の頃から、もっと深く多くの時間をアートに費やし、その感性や方法論を学ぶべきです。
アートこそが日本の未来を切り拓く、たった一つの方法とさえ思うのです。
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