サラリーマンとして、社畜として、歯車として。どこかの誰かが創業し、どこかの誰かが運営する会社で働くのだとしたら、誰しも成長企業ないし成長する可能性の高い企業で働きたいと願うものです。そして、企業を成長させることのできる経営者の下で働きたいとも、同時に思うものであります。
そこで、これまで様々なベンチャー企業を転々とし、様々なタイプの経営者の下で働き、アライアンス先として様々な経営者と交渉し、メンターとして様々な経営者をサポートしてきた経験をもとに、没落企業ないし没落する可能性の高い企業の経営者にみられる共通点をまとめてみました。
サラリーマンは転職活動の参考に、スタートアップの経営者は自戒のためのチェック項目としてご活用くださいませ。
- ①グランドデザインを描かない、描けない
- ②成功体験に縛られる
- ③市場の感覚とのズレに気付かない
- ④自責の観念はゼロ。基本的にすべて他責
- ⑤権限移譲をせず、強烈なトップダウン
- ⑥「社員のために」はクチだけ
- ⑦法令遵守する気はない
- ⑧そもそも、もうやる気がない
(1) グランドデザインを描かない、描けない
1回の成功は運だけあればできる。2回以上連続させて成功できるかどうかが実力だ、とスタートアップやイントラプレナーの世界ではよく言われます。
事業の成功というのはそもそも「運」の要素が非常に強いものです。となると、世の中にはとてつもなく運が強く、運だけで事業を成功させることができる人もいるものです。
たまたまやった事業がたまたま市場の気流に乗ってうまくいったり、たまたますごい人たちに囲まれてその人達に押し上げられたり、たまたま組んだ仲間が天才だっただけだったり。
なんの実力もなく、なんの努力もしていなくても、たった一度の成功であれば凡人でも愚才でもできてしまうのです。
宝くじと一緒です。買えば誰しも当たる可能性がある。事業もやれば誰しも大成功する可能性はある。ゼロではありません。
じゃあ、実際その人に戦略思考があるかというとそれは別の話。
経営とはグランドデザインを描くことそのものであると考えます。地図を描き、登る山を決め、登るルートとチーム構成を決め、持っていく所持品を決める。
それがなければ最初の一歩も踏み出せず、PDCAをまわすことさえもできません。ピボットすらできないのです。
たとえ、かの有名な経営者であっても、運良く成功しただけの人には、グランドデザインを描く能力がないケースは往々にしてあるのです。そして、サラリーマン経営者であればなおのこと。
そう。没落企業の経営者は、グランドデザインが描けないのです。目指す未来のビジョンを提示することができないのです。
ただただ、目の前に降っていたタスクをこなすだけ、トラブルには右往左往するだけ。
優秀な社員がバシッとハマるグランドデザインを提案しても、当人は描く能力がないので、それを判断する能力もなく、いいとも悪いとも返答できず。
そしてグランドデザインを描くことができないまま、会社は迷走を繰り返し、没落していくのです。