大工になろうと決意した人は、みなどうするでしょうか。いきなり家を建て始めますか? なんの知識もない中で家を建て、また、立て続けて大工になれるでしょうか?もちろん趣味で家を建てられるという意味での大工にはなれるでしょう。しかし、お金をもらうプロとしての大工に果たしてそれでなれるでしょうか。
その答えはなれない、もしくはなれたとしてもものすごく時間がかかる、だと思います。
なるべく早くプロの大工として独り立ちするためには、やはり親方のもとに修行に行き、体系的に知識やノウハウを学ぶことこそが大切です。
対して、ホワイトワーカーの職場に目を向けてみますと、この「家を100軒建ててみろ」的教育がまかり通っているような気がしてなりません。
「とにかくやってみろ」「オレがお前らのような頃は上司は何も教えてくれなかった」といって何をするでもなく放置され、自分で仕事を探しチャレンジしてみて失敗したら「何故勝手にやったんだ」「オレの言うとおりにやれ」、たまに気分がいいときは仕事を教えれると思いきや「オレはこうやって成功した」と自慢話が9割5分。
こんな上司の下で部下は育つでしょうか。否。「素人が家を100軒建てても大工にはなれない」ように、「とにかくやってみろ」で仕事をやらせても人は育ちません。失敗を恐れて避けるやり方は学ぶでしょう。成果を出す人財には成りえません。
成果を出して育てるために必要なのは、知識やノウハウを体系立てて、一歩づつ着実に足元から教え、理解し、実践できるようにすることであって、とにかく現場に放り込んで放置することではありません。どんな環境においても、人財育成は「仕組み化」することなしに成立し得ないのです。