マネージメントの役割として、様々な局面で、客観的、主観的、相対的、絶対的などの基準で、スタッフを評価をする機会があります。その中で、当然、ネガティブな評価を下すことも少なからずあります。
しかしながら、本質的には、スタッフが悪い評価なのは、スタッフが悪いのではなく、スタッフをそういう状況に起き続けているマネージメントレイヤーが悪いのです。
いくつか事例をあげてみます。
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「成果が出ていない」
成果が出ないことの責をスタッフに向けるなどもってのほか。成果が出ないのは、チームの責任であり、最終的にはマネージメントレイヤーの責任なのです。スタッフにその責を押し付けてはいけません。
なぜ成果が出せなかったのか。目標設定に問題があったのか、チームメンバーの配置が問題なのか、士気が問題なのか。マネージメントに責がある前提で、問題点をしっかりブレークダウンし、それに対する対処をすべきです。
目標設定が問題
目標には、会社としての目標があり、チームとしての目標があり、メンバーとしての目標があります。それぞれ大きなものからブレークダウンしていくものです。
成果を達成するためには、目標設定は重要です。目標を設定するからこそ、そこへ達成するための仮説が設計でき、その仮説に基づいた施策が立てられ、PDCAが回せるのです。
あいまいな目標を設定しているから、あいまいな仮説にしかならず、しっかりとした検証が出来ないために、ひとつひとつの施策につながりがうまれず、仕事をしているのに目標に到達しないということが起きるのです。
特に、会社としての目標やチームとしての目標を定めているにも関わらず、メンバーそれぞれの目標への落とし込みをしていないケースが多いです。チーム目標を目指せ、というマネージメントなのかもしれませんが、やはりメンバーごとの目標を明確にすることでしか、役割ややるべきことを明確にすることはできないのです。
チームメンバーの配置が問題
適材適所になっていないと、前述のようにメンバー個別に問題が起こるだけでなく、チーム全体としても問題が発生します。例えば、いわゆるポテンヒットをうむ要因となります。
メンバーのスキルを理解し、人材配置が明確になってこそ、はじめて成果を出す体制ができるのです。どの役割に、仕事に、タスクに、誰が向いているか、誰が好むかは、常日頃から意識的に考えるようにしておくべきです。
チームの士気が問題
チームの士気が低ければ、当然目標達成をすることは難しくなります。その要因は様々です。高すぎる目標。仕事が楽しくない。他のメンバーと生理的に合わない。などなど。
チームの士気を高い水準に保つために、メンバーをエナジャイズすることも、マネージメントの仕事のうちです。タスクの管理をするのはディレクションであって、マネージメントではありません。マネージメントとは「人」や「組織」に関しての管理も業務に入るわけです。
組織全体、メンバー同士の関係性、メンバーのマインドやプライベートなど、多岐にわたる情報を一元的に把握し、それぞれに最適なエナジャイズを行う。成果を出すためには必要なことなのです。
「スキルが足りない」
確かに、成果をあげるのに対して、スキルが足りないスタッフはいます。
しかしながら、どんなことでもできる人というのは稀で、誰でも足りないスキルはあるはずです。その前提を忘れてはいけません。「スキルが足りない」と言っているマネージメントレイヤー本人も、足りないスキルはあるのです。
その上で「スキルが足りない」とは、マネージメントがスキルに見合った仕事を与えていないか、キャリアを見据えた成長する意欲が持てる環境を与えていないかなどへいったところに問題があるということとイコールです。。
スキルに見合った仕事を与えていない=適材適所になっていない
スキルが足りないのは、その人材のスキルをきちんと把握せずに配置したからにほかなりません。そもそも、人材配置というマネージメントがやらなければならない仕事のファーストステップで失敗している、ということなのです。
きちんとスタッフの能力を見極めた上で、適材適所の配置をしなければ、成果などあがるはずもないのです。
キャリアを見据えた成長する意欲が持てる環境を与えていない
もし、スタッフにスキルが足りていないことは認識できているんだとしたら、今度は、「成長」に対する環境の整備というマネージメントの仕事に失敗しているということです。
人は誰しも、成長意欲があれば、スキルを習得しようと努力するはずです。「スキルが足りない」という評価を下すということは、「成長していない」ということニアリーイコールであって、成長しようと努力している人に「スキルが足りない」という評価はしないはずです。
例えば、スタッフの思い描く将来のキャリアアップのシナリオを聞くことができ、そのために足りないスキルが何であって、そのためにどう努力をすれば良いか、というコーチングさえできれば、そのスタッフはその日からスキルの習得に動くはずです。「スキルが足りない」状況から一刻も早く脱するために。
「コミュニケーション能力が足りない」
コミュニケーションに問題があったとしたら、もしかしたらそもそもビジネスにおけるコミュニケーションがなんたるか、を知らないだけかもしれません。知らなければ、自分の知っている、いわばプライベートのコミュニケーションをそのままビジネスに持ち込んでいるだけなのかもしれないのです。
能力が足りない、で終わらせるのではなく、マネージメントレイヤーであれば至極当たり前にやっている不文律を、しっかりと言語化しロジカルに説明し、実施できるようにするのも、マネージメントの仕事です。
まとめ
あくまでも例なので、ここに記載したもので網羅されているわけではありません。100人いれば100通りの人がいるように、その人達が集まっているのですから、組織というのは千差万別で、そこで起きる問題も千差万別です。それでも、そこで起きた問題はすべてマネージメントの責任であり、かつ、マネージメントが解決可能なことなのです。
スタッフのせいにするのは楽ですが、それではなにも解決しません。解決することを主眼においたときに、たしかにスタッフになんらかの問題はあるのかもしれませんが、必ず自らのマネージメントに問題はないかという視点に立つことではじめて解決策に辿り着くことができます。他責ではなく自責。
ただし、スタッフの立場にたったときに、すべてをマネージメントの責任としていい、ということを伝えているわけではありません。本稿はあくまでマネージメントの目線のお話です。スタッフの目線での、他責ではなく自責という話は別稿にて書きたいと思います。