複数の企業において新規事業立ち上げを行なってきたシリアルイントラプレナーが、そこで繰り返してきた失敗を主観的に、客観的に記す「イントラプレナー(社内起業、新規事業)の失敗学」。
今回は、新規事業担当者のリソースに対する考え方について。
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人的リソースは固定費であり、簡単に削れるものではない
社内起業は、サラリーマンがやるので、サラリーマン的な愚痴が出てきやすい。起業家はまず口にしないような愚痴が。
その中でもよく耳にするのが「人が足りない」という、人的リソースに対するものだ。
でもよく考えてほしい。
新規事業を立ち上げた当初は、間違いなく赤字だ。黒字でスタートできる事業など奇跡に等しい。そのほとんどは赤字でスタートする。
リソースというのは固定費だ。増えれば増えるほど積み上がる。
また、そこにいるのは「コスト」という数字ではなく、「人」である。つまり、削りたい時に簡単に削れるものではない。
バーンレートを引き上げるということは、死に近づくということだ
人を増やすということは、バーンレートを引き上げることに他ならない。そして、バーンレートを引き上げるということは、死に近づくということとイコールだ。
スタートアップは、まさに断崖絶壁に立ち、常に死を意識して事業を営んでいる。だからこそ、無駄に赤字を積み上げることには敏感だ。1円でも惜しい。
しかし、大企業の人間はそうではない。バーンレートは意識せず、コストは使いたい時に使えるとおもっている。使えない、ということは、それを否定する上司が悪い、ともおもっている。
しかしながら、事業の「死」は、社内起業であっても、平等に訪れる。
トップのクローズ判断も、見ているのは「資金」に他ならない
スタートアップにとっての「死」は、資金が尽きること。社内起業家にとっての「死」は、トップのクローズ判断だ。
「資金」という分かりやすい指標と、「判断」という曖昧なものという違いがあるから、社内起業家はコストを意識しないのだろう。
しかしながら、クローズ判断は、つまるところ結局その「赤字額」の積み上げによってなされるものであるから、スタートアップと基準は同一だ。自身のコストではないから、それが表出しないだけだ。
社内起業であったとしても、まずは、一切のコストを使わず、泥臭くなにもかも自分の力でやるべきだ。話はそれからだ。