複数の企業において新規事業立ち上げを行なってきたシリアルイントラプレナーが、そこで繰り返してきた失敗を主観的に、客観的に記す「イントラプレナー(社内起業、新規事業)の失敗学」。
今回は、マネージメントレイヤーの新規事業への意識について。
新規事業に取り組もうとするとき、マネージメントレイヤーはどれほどの温度感で取り組んでいるだろうか。
「既存事業の成長も伸び悩んでいるし、そろそろ新規事業でもやっとかないとな。あのへんのチームのリソースも余っているし、いったんやらしておくか。いいものがでてきたらやろう。自分は既存事業の再成長にコミットしなければ」
これぐらいの意識で取り組んでいるマネージメントレイヤーが多いのではないかと、肌感で感じている。
一度現場で担当した方ならわかると思うが、もちろん、新規事業はマネージメントレイヤーが本気になって、覚悟して取り掛からないと、うまくいくものではない。
マネージメントレイヤーが、経営トップが何を考えているか。ヒエラルキー型組織の下層であればあるほど、それを敏感に感じ取ろうとする。言葉に出さなくても、態度などから推測する。
そうなると、「とりあえずいったんやらしておくか」「余ったリソースを使えばいいか」とマネージメントレイヤーが考えているのであれば、現場は新規事業はその程度のものだ、と、自然に感じ取って、そういう意識になってしまうのだ。
こうして、新規事業に対して、既存事業の担当者や管理部門の人間からの協力体制は、当然得ずらくなる。
既存事業が大切で、ここをなんとかしていかなければならないのは、当たり前だ。そここそが、売上/利益をあげているわけで、ないがしろにしてそこを毀損させるわけにはいかない。
しかし、会社の長期的な未来を考えたとき、会社が成長し続けるためには、新規事業が立ち上がるかどうかが、かなり重要なファクターを占めることは明白である。そこに異論を挟む余地はないだろう。
だとしたら、マネージメントレイヤーこそが、そこに真剣に取り組まなければならない。
会社の文化というのは、ヒエラルキー型組織の最下層まで含めて、全社員が作っていくものだが、そこに変革をもたらそうとするとき、旗振り役はトップやマネージメントレイヤーにしかできない。
社内起業家を全社員が全力でバックアップする、そこに手を挙げた人を尊重する。そういうカルチャーや支援チームを作るために、マネージメントレイヤーがしっかりコミットして、旗を振っていかなければならない。
それができていない企業で、新規事業がうまくいった例はほとんどない。