プランド・ハプンスタンス理論というものをご存知だろうか。
アメリカ・スタンフォード大学の教授、ジョン・D・クルンボルツらが提唱したキャリアに関する理論で、日本語でいうと「計画された偶発性」となる。
簡単に言うならば、「自分のキャリアは自分自身の意志で意図的に積み上げて形成するもの」ではなく、「キャリアの8割が予期しない出来事や偶然の出会いによって決定される」という考え方がベースとなっている。
そして、その「予期しない出来事」をただただなにもせずに待つのではなく、自ら創り出すために積極的に行動したり、自らを高める努力をし、「予期しない出来事」が起きた時に、そのチャンスを意図的・計画的に掴み取って、キャリアアップへつなげるべきだ、と考えるものだ。
「計画された偶発性」を手にするための五箇条
意図的・計画的にそのチャンスをつかみとるために、5つのことを意識せよ、と、プランド・ハプンスタンス理論ではまとめている。
(1)「好奇心/Curiosity」 ―― たえず新しい学習の機会を模索し続けること
(2)「持続性/Persistence」 ―― 失敗に屈せず、努力し続けること
(3)「楽観性/Optimism」 ―― 新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考えること
(4)「柔軟性/Flexibility」 ―― こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること
(5)「冒険心/Risk-taking」 ―― 結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと
たしかに、ボク自身のキャリアを振り返った時に、これにまさに当てはまるようなことが、まさに自身のキャリアを掴むために必要となったように思える。
例えば、新卒で入社した会社でエンジニアとして働いていたとき、自分自身がこのままWeb系エンジニアとして高みを目指せるか、Web屋として幅を広げれか、非常に悩んでいた時期があった。そのとき、勉強会に出て自分のスキルを磨く(2.持続性)とともに、エンジニアリング以外の勉強会にも参加する(1.好奇心)という行動をとることにした。
そしてしばらくして、その勉強会で出会った人づてで、いまの自身のキャリアにとって、ベースとなる考えや知識を教えてくれた師であるアーキタイプの中嶋淳さんと出会うことになる。そのあたりの詳細はまた別途記そうとおもうが、そのとき「お前の考えは甘い。うちで修行しろ」と言われたことをいまでも強烈に鮮明に覚えている。
自分自身、Web屋として個人事業主としてもサラリーマンとしてもそれなりに成果を残してきた自信がそれなりにあったが、中嶋さんの様々な見識に触れ、自身の視野の狭さに気付かされた。そこで、Web屋であることにこだわることを辞め(4.柔軟性)、コンサルタントという、その当時の僕にはなにをするのかさっぱりわからない仕事へと転職する決意をした(5.冒険心)。
いま思えば、中嶋さんという人のことをまったく知らなかったし、修行といってもなにをやるのかも詳しく聞かなかったし、たまたま知り合った人に紹介されて、(自分にとっては)どんな人かもわからない人の言葉を信じて、ついていこうと、よくその場で判断したな、とおもう(3.楽観性)。
もちろん、「イントラプレナーの失敗学」を書いてるぐらい成功は全くしてないし、今後自分のキャリアがどうなるかはわからない。この出会いが本当に良きものだったのかは、死ぬときにならないと最終的な評価はできないともおもう。しかしながら、いまの自分にとって、この出会いとこの判断が、いまの自分の礎となっていることは間違いない。
まさに、プランド・ハプンスタンス理論を知らず知らずのうちに実践していたことで、自分にとってベストな選択肢を掴むことができた、というわけだ。
ぜひ、みなさんもプランド・ハプンスタンス理論を意識してキャリアを振り返り、今後のキャリア選択の一助にしてみてはどうだろうか。
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