複数の企業において新規事業立ち上げを行なってきたシリアルイントラプレナーが、そこで繰り返してきた失敗を主観的に、客観的に記す「イントラプレナー(社内起業、新規事業)の失敗学」。
今回は、メンバーの新規事業に対する資金に関する認識について。
これはアサインしたメンバーよりも、採用面接の場で、新規事業をぜひやりたいです、という志望者からよく聞くフレーズだ。
「ベンチャーとしてはじめるよりも、大企業で社内起業としてはじめれば、潤沢な資金が使える」
この考え方自体は、間違ってはいない。既存事業が順調であればあるほど、新規事業に投下できるリソースや資金は潤沢であるのは当然だ。
しかし、2つの点でこの認識が「間違っている」ことになる。
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1. 面接を受けにきているあなたにとっては、間違っている
VCから出資を受ける時よりも、よりシビアになるのが「実績」と「信頼」だ。
社内起業であるからこそ、当然、マネージメントレイヤーは、既存の組織のなかで「実績」があって「信頼」できる人に任せる。
面接を受けに来ている段階や入社した直後の段階では、あくまで履歴書と職務経歴書ベースのものを信頼したにすぎない。本当に会社のお金を任せるに値するかは、まだ判断のステージに立っていないといえる。
2. 「莫大な資金援助」を最初から得られるという認識は、間違っている
もうひとつは「莫大」についてだ。
当然、初期にかけられるお金やリソースは、シードフェーズのベンチャーより大きいだろう。とくに人件費はそうだ。
しかしながら、かといって、なんの基準も判断もなく、いきなり大きい額がかけられるわけではない。
当然、そこには、事業の成長性の見込みがたつかどうかの判断がはいる。
そういう意味では、シードフェーズのベンチャーが資金調達をするのと、判断基準は大差はない。
既存事業での利益があるからこそ、チャレンジはしやすい環境は整えているだろうが、成功するか失敗するかわからない博打に、「莫大」な資金を出せるわけではない。
その前提を踏まえて
シードからはじめる起業と、既存事業があるなかでの社内起業に、「新規事業をはじめる」というところに差がないことが事実である認識は、まず最初に持つべきである。
そのうえで、それぞれにPros/Consはあるわけで、そこを意識しながら進めないといけない。
Pros/Consは、またどこかで整理してみようとおもう。