複数の企業において新規事業立ち上げを行なってきたシリアルイントラプレナーが、そこで繰り返してきた失敗を主観的に、客観的に記す「イントラプレナー(社内起業、新規事業)の失敗学」。
今回は、社内起業にアサインされたスタッフのマインドについて。
なにより、僕自身が一番この部分での「失敗」がもっとも大きいのではないか、と自省している。
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サラリーマンはアントレプレナーではない
まず、最初にマネージメント側が、意識しておくべきことは、サラリーをもらっている以上、そこにいるスタッフはあくまでサラリーマンであり、アントレプレナーではない、ということ。
サラリーマンというのは、サラリー(給料)に対して見合った働きをする、というだけでしかない、ということを忘れてはいけない。
アサインされたことに対して、当然一生懸命に働くだろう。タスクをたんたんとこなしていくはずだ。
しかしながら、アントレプレナーに必要なのは、タスクをこなすことではない。これから、その事業によって世の中に提供しようとする価値そのものを考え、そしてそのためにどうすればいいかを自ら考えて動く人間こそが、アントレプレナーであろう。
サラリーマンは、まさにこの点で相反する存在なわけである。
もちろん、必ずしも、全員がそうだとはいわない。特に新規事業へアサインしようと、マネージメント層が考えるような人材は、これに当てはまらないだろう。
しかしながら、意識しておくべき、なのは、サラリーマンでアントレプレナーシップをもつ人材はごく一握りしかいない、ということだ。
そう、社内起業のためにチームを組成すれば、そのなかの8割はサラリーマンなのだ。
アントレプレナーの意識がないならば、社内起業に参画すべきではない
スタッフ側は、社内起業に参画する際、アントレプレナーシップとはなんたるかをしっかり考え、意識しないといけない。
サラリーマン的な意識は、そこへ参画すると決意した時点で、捨て去るべきものだ。
「なにをやるかが決まっていないから動けない。はやく戦略を決めてくれ」
「提案したところで何もやらせてもらえない。予算は潤沢にあるはずじゃないか」
「トラブルが起きた。報告したら評価が下がるかもしれないから、黙っておこう」
「自分の領域はここだけだ。それは、あいつがやる仕事だ」
「KPIを確認するのは自分の仕事ではない。数字はわからない」
「自分はやりたかったわけじゃない。アサインされたからやっているだけだ」
サラリーマンであっても、持つべきではない志向だが、大企業であればあるほど、この志向を強く持つサラリーマンは多いとおもう。
仮に、自分が自身の金で立ち上げた会社で働いているとき、こういうセリフを吐くだろうか。微塵でも考えたりするだろうか。
真のアントレプレナーシップは、サラリーマンでは持ちにくい。だからこそ、そこを意識しなければ、サラリーマンとして参画してしまっては、そのチームの足を引っ張ることになる。
自ら立ち上げるという気概をいかに持つか、いかに持たせるか
この点を、自責の念をこめていうのであれば「自ら立ち上げるという気概をいかに持つか」、他責の面からみるならば「その気概をいかに持たせるか」。
どちらも大事だとおもう。
参画するのであれば、アサインであろうとなんであろうと、その事業によって世の中に提供する「価値」を意識し、それによって「世界をどう変えるか」に共感し、そのために必要なことをすべてやる、という意識を持たなければならない。
逆にマネージメント層は、一方的にアサインするのではなく、しっかりとその意識を持ち、情熱とオーナーシップをもって働くようにエナジャイズしなければならない。
この、仕事へ向き合うスタンス、という点においては、起業と比べて、社内起業は非常に難しい。