理系技術は男の性的欲求が牽引しています。
過去を振り返ってみると、それを理解するのは簡単でしょう。
ビデオテープにVHSとベータの戦いがあったことはご存じでしょう。僕がちょうどギリギリ知っている世代です。
VHSがこの戦いに勝利し、ビデオテープ=VHSとなったのには、日本のAV業界が貢献しています。
そう、日本のAV業界がVHSを選択したことにより、VHS再生機が爆発的に広まっていったのです。
DVDも同様です。
当初、高価格だったDVD再生機は、それほど広まらないんではないかという予測がありました。
映画業界も二の足を踏んでいました。
そのとき、いち早く取り入れたのはやはりAV業界でした。そして、VHSのときと同様にDVDも広まっていったのです。
他にも、デジカメやビデオカメラが爆発的に広まった理由のひとつも男のそうした欲求が根底にあると僕は推測しています。
これはインターネット業界にも同様に言えることでしょう。
インターネット自体がここまで広まった理由として、Windows95の登場が主にあげられています。
もちろん、それも理由の一つとしてあると思います。
しかし、僕はそれよりもインターネットを使えば無料でエロ画像やエロ動画が見れるというクチコミベースの広まりが、インターネットの普及を後押ししたんだろうと思います。
その後のWebビジネスでも新しい技術を積極的に取り入れるのは、男の性的欲求を満たすコンテンツでした。
動画配信はもちろんのこと、出会い系サイトは一種のSNSということもできるし、ビデオチャットの技術は今ではWeb上から簡単に自宅の様子を監視したり、要介護者や幼児の様子を見るために使用されています。
今、一般的に利用されているインターネット周りの技術の、そのほとんどは真っ先にアダルト業界が取り入れたものでした。
また、周りのWeb系のエンジニアを見渡すと、アダルト業界出身者が意外にも多いことに気づくでしょう。
通常のシステムエンジニアはアダルト業界では働きません。どんなに給料がよくとも。
そんなときアダルト業界はどこで人材を探すか。そう学生です。
通常よりも高い時給を支払えば、学生は特に働く業界を選ばないでしょう。
システムエンジニアを目指す学生にとってはシステムを勉強しながら、よい給料をもらえる職場はとてもよい環境であるともいえます。
そこでWeb系エンジニアとしての基礎知識をつけ、大学卒業後はその知識を携え、様々な企業へ羽ばたいていくのです。
その職場では、割と自由に、活発的に新しい知識を導入しようという人たちの集まりでもあります。
特定の言語や環境に縛られすぎていない若者は、新しい知識を導入するにはもってこいであるからです。
そうやって、アダルト業界は、次々と新しい技術を取り入れ、新しいサービスを展開していきました。
しかし、ここにきて、その流れが変わってきているのも事実です。
Web2.0と呼ばれる流れにおいて、アダルト系のWebよりも先に一般者向けのサービス系のWebの方が新しい技術を取り入れるスピードが増しているのです。
アダルト系のWebはまだまだWeb1.0から抜け出せずにいます。
徐々にではありますが、Web2.0の構成要素の一つであるコミュニティー(ユーザ間のバイラル)を取り入れたサイトは目にします。それでも、そのほとんどが一般者向けのサイトのアイデアをそっくりそのままアダルトに転用しただけであることがほとんどです。
最も顕著に表れている例がAjaxという技術でしょう。
まだ、本格的にこのAjaxをうまく利用し、面白い試みとなるようなWebサイトはほとんど見受けられません。
アダルト業界に、(技術的な側面から見て)栄光の日々は既に過去のものとなってしまっているのです。
そうとはいえ、このタイミングでセクシーコンテンツの最古参であるPlayboyがWebへの参入を決めたり、シリコンバレー発のアダルトサイトの話題が持ち上がったりと、全世界的にアダルト業界への規制が厳しくなる中、興味深い話題は絶えません。
再びアダルト業界が栄光の日々を取り戻す日はそう遠くないのではないかと、僕は考えています。
そういった意味で、女性には難しいかもしれませんが、アダルト業界に目を向けておくと、一般者向けの業界にも転用できうる目新しいアイデアがそろそろ出てくるころではないかと思います。
Web3.0の扉を開くのはもしかしたらアダルト業界かもしれません。