「腐ったみかん」はチームを腐らすが、マネージメントはそれに対処できる

ドラマ「3年B組金八先生」に出てきた「腐ったみかんの方程式」をご存知でしょうか。「箱の中のみかんが一つ腐り始めると、他のみかんも腐ってしまう。だから、腐ったみかんは早く取り除かなければならない」というものです。

これに対して、武田鉄矢扮する金八先生はこう言います。「辛いことがあって、あちこちぶつかっていれば、そりゃどこか腐ってくる。だが私たちはみかんを作ってるのではない。人間を作っているのだ!人間の精神が腐るということは絶対ない!!」

教育者の精神として素晴らしい格言だと思います。さて、これを会社組織のマネージメントに置き換えた時、「腐ったみかんの方程式」はどう捉えればよいでしょうか?

「腐ったみかん」は取り除くことができる

会社組織において、「腐ったみかん」とは無能で成果が出せず、周りの足を引っ張る人材のことです。業務成果を下げる要因になっていたり、周りのモチベーションを下げることで成果が下がる遠因になっていたり。

ここでよくよく考えるべきは、教育の現場と最も大きく異なるのは、会社組織は「プロ」の集まりである、ということです。つまり、一義的にはもらっているサラリー分は最低限成果を出さなければならない責任をすべからく負っているのです。

組織において、人材育成というのは非常に大事ではあるものの、ものすごく短期的にみた場合は、会社組織は教育機関とは違い、「人間を作っている」わけではなく、あくまで「事業目標達成」集団であるわけなのであって、「人間が腐ることはない」という理想論に立つ以前に、まずは「腐ったみかん」の対処をしなければならない。

もっとも手っ取り早く効果を出すことができるのは「取り除く」ことです。「腐ったみかん」はやはりまわりを腐らせます。いち早く「取り除く」というのは、対処療法としては有効な手段です。

しかしながら、「完全な排除」はおすすめしません。あくまで「一時的に取り除く」に留めるべきです。

人は誰しも、何かのきっかけで「腐ったみかん」になってしまうことがありえます。それはどんなに優秀な人であっても、どの立場の人であっても。しかしながら、それを毎回「完全な排除」をしていたら、いつか自分も「完全な排除」をされてしまうかもしれないという恐怖感が生まれ、組織全体がまともな空気感ではなくなってしまいます。そして、きっと優秀な人から辞めていくでしょう…。

人はどんなことでも失敗からこそ学ぶものです。再チャレンジが常にできる環境を用意することこそ、組織全体の成長のために、そして働きやすい環境のために必要なのです。

「腐ったみかん」が周りを腐らせないようにすることができる

同じ箱、つまり同じチームの中に腐ったみかんがいると、他のみかんに感染していくように周りが腐ってしまうことは往々にしてありえます。しかしながら、人間とみかんが違うことは、みかんは必ず腐るが、人間はあくまで「往々にして」である、ということです。人間は、同じ箱のなかに腐ったみかんがあるからといって、必ずしもまわりすべてが腐っていくわけではないのです。

その前提に立ち、マネージメントは「腐ったみかん」が周りを腐らせないように努力しなければなりません。そのひとつが前述のとおり、「腐ったみかんを取り除く」ことになるわけですが、それと同時に対応すべきなのは「周りを腐らせないようにする」ことです。

「腐ったみかん」が発生した時に、その理由がなんであれ、その周りにいる人とはきちんとコミュニケーションをとらなければなりません。なぜ「腐ったみかん」が発生してしまったのか理解しているか、そのために自分ができることを最大限やったのか、マネージメントや環境に対しての不満はないか、などなど。

人の感情の動きを完全にコントロールすることなど、まずできることではありませんが、その人に考えるきっかけや気付きを与えることは、マネージメントにはできるのです。それによって、「腐ったみかん」にさせず、チームの一員としてきちんと考え行動する習慣づけをすることを目指します。

前述のとおり、「腐ったみかん」をただ単に「完全な排除」しても、解決はしません。なんの説明もなく、コミュニケーションもされなければ、それは不信感にしかつながらず、その不信感が腐らせる原因の一因にもなりえてしまうのです。

「腐ったみかん」を「新鮮なみかん」に変えることができる

腐ったみかんは、取り除いたあと破棄するしかありません。しかしながら、人間はみかんではありません。腐ったとしても、また新鮮な状態に戻ることができるのです。

一時的に取り除くことは、対処療法的に必要だったとしても、そのまま放置していては確かに腐っていきます。しかしながら、人間というのは、完全に腐ってしまうことは絶対にありえません。どんな人にも、どこかで活躍する能力は持っているのです。すべての人が、ギフテッド(天から与えられた“資質”)をもっているのです。それをきちんと自分で把握していないか、そこの伸ばし方をしらないだけなのです。

だから、いま目の前の状況で活躍できず、腐ってしまったとしても、ギフテッドがどこにあるかを観察し、理解し、そこへの気付きを促したり、そこを伸ばすための成長機会を提供したりなど、マネージメントができること、マネージメントでしかできないことが必ずあるのです。

まとめ

どの会社でも、事業での成果を持って、マネージメントを行う立場に出世することが多いでしょう。しかしながら、事業のマネージメントと組織のマネージメントはまったくの別物です。そして、組織のマネージメントこそが、事業成果をあげるための土台として重要なのです。

マネージメントのチカラを軽視せず、もっと信じるべきです。マネージメントでやることはなにも難しいことばかりではありません。そして、マネージメントによって広がる組織の、事業の可能性は非常に大きいのです。

  • 「腐ったみかん」は取り除くことができる
  • 「腐ったみかん」が周りを腐らせないようにすることができる
  • 「腐ったみかん」を「新鮮なみかん」に変えることができる
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