イノベーションのバイアス: 新しいものが必ずしも優れているわけではない 〜イントラプレナーの失敗学

イントラプレナーの数多ある苦悩のひとつに、事業プランが通らない、というのがある。

人員を一定程度を割き(=コストをかけ)、新規事業や新規商品のブレストを繰り返しているにも関わらず、事業プランがなかなか承認されない。

そこには2つの「イノベーションのバイアス」が影響している。

マネージメントレイヤーにある「イノベーションのバイアス」

マネージメントレイヤーにおける「イノベーションのバイアス」は、ユーザがまだ目にしたことのない、市場にまだ存在しない新しいものを提供することこそがイノベーションであり、そうではないものには価値がない、という思い込みである。

イノベーションは、必ずしも新規領域に限った話ではない。既存領域の周辺ビジネスでもイノベーションは起こせるし、既存事業に変革をもたらすこともイノベーションである。

また、事業ではない、例えば管理部門であったとしても、コスト構造やオペレーションを改革することもイノベーションである。その分野に専門性の高い社員を抜擢すれば、そこでイノベーションを起こすことは可能だ。

イントラプレナーにある「イノベーションのバイアス」

逆に、現場サイドにおける「イノベーションのバイアス」は、現場サイドが新しい物を作ろうとしすぎることであり、それによって、非現実的な計画になっていることである。

例えば、飲料メーカーが突然自社でロボット領域の新規事業をやろうとする、といった、完全に門外漢の事業企画を立てたとしよう。確かに、会社に資金はあるかもしれない。しかしながら、技術もなく、チームもなく、ゼロベースで組み立てなければならないことが多すぎる。それはハイリスクだと、マネージメントレイヤーは判断することが容易に想像できる。

ここでも、同様に、既存事業や、既存領域の周辺ビジネスでのイノベーションの方が、今あるコアアセットを活用できるために勝算を立てやすくなるだろう。

2つのバイアスを取り除くために

2つのバイアスを取り除けなければ、双方が本当に納得する事業プランを作ることは難しい。

そして、2つのバイアスは、根底は同じものでありながら、双方が向いている方向が違う可能性があるために、日々のコミュニケーションですりあわせることは難しい。

そもそもの前提としての新規事業のポジショニングを、アンゾフの成長マトリクスなどを使って事前にすりあわせをしながら、常に振り返る指針として持っておく必要がある。