面接で事業企画をプレゼンすることの無意味さ

面接において時々遭遇するのが、自らが考えた事業プランを時には資料まで用意してプレゼンしてくる人だ。どちらかといえば、中途採用よりも、新卒採用で多かった。

個人的には、はっきり言って時間の無駄なのでやめてほしい。また、同様にそれを高評価として、次のステップへ回してくる面接官も勘弁してほしい。

外部の人間に、今必要な新規事業の領域を正しく把握することはできない

会社組織が新規事業に乗り出すときには、現在の事業の状況やステージ、ポートフォリオ、新規事業の事業規模を考えた上で、攻めるべき事業ドメインを決めている。ただただ、闇雲に始めているわけではない。

面接で事業プランをプレゼンする人は、まず大前提として、スタートアップと社内起業の、この大きな違いを理解していないのだと思う。既存事業で儲かっている会社は、いい企画があれば何でも始めると思っている。

また、現況は、外部にいる人間が詳細に知ることは不可能だ。経験も知識も乏しい新卒の子ならなおさらだ。経験豊富な中途社員だとしても、つぶさに理解できることなどありえない。

ボクがこれまで面接でされたプレゼンのほとんどは、ここを理解していないケースが目立った。企画そのものがいいか悪いかではなく、それ以前の問題として、聞く価値がないものになってしまっているのだ。

信頼していない人間に、新規事業は任せない

仮に素晴らしい事業企画だったとしよう。だとしても、あなたには任せない。

よほど経験・知識豊富で、人脈もあり、プロデューサー的な資質を持った人材なら別だ。しかし、そういう人材は面接には来ない。おそらく、経営層が直接口説いているはずだ。

面接に来ている時点で、任せるレベルの人材として世の中に認知を全くされていないわけだし、会社はあなたのことを何も知らない。つまり、信頼できるかわからない人材だ。

そんな人材に、新規事業など任せられない。ベンチャーキャピタルでさえ、その「人」に投資していいかどうかを、たった数回の面接・面談で判断しない。ある程度の時間をかけて、密な関係を築き、信頼できてはじめて投資を行うのだ。

リスクマネーを取り扱うベンチャーキャピタルでさえそうなのに、実業による収益を投資する社内起業が、たった数回の面接で、たいして知らない、信頼できるかわからないあなたに投資するわけがない。

確かに、ベンチャーキャピタルの場合は、本当に素晴らしい事業企画だった場合に「人」をそれほど見ずに投資判断を行うケースもある。しかし、それができるのはポートフォリオとして投資しているからだ。つまり、そこに個々の事業が失敗する確率を想定しているので、それができるのだ。

社内起業は、一つ一つ真剣に取り組む必要があって、失敗することを想定などしてはいない。成功は必達目標なのだ。だから、なおさら任せる「人」が誰かが重要になってくるのだ。

(もちろん、スタートアップも成功が必達目標である。しかし、それは起業家からみた場合であって、ベンチャーキャピタルからみた場合は、必達目標でありながら、前述の考え方も併せ持っている、ということである)

重要なのは企画そのものではなく、そこに至ったプロセスだ

面接で判断するのは、事業企画そのものではない。これまで何をしたか、でもない。そこにどういうプロセスで至ったか、だ。

ものすごく素晴らしいアウトプットを出す、ということは、何らかの運の要素が重なれば、誰にでもできることだ、と言うこともできる。

しかし、それを再現することができ、何度でも繰り返し同じような、ともすれば、前回を超えるような素晴らしいアウトプットを出すことができる人材こそが、本当に優秀な人材である。

だからこそ、そこに至ったプロセスを知りたい。どういう思考で、どういうチームで、何を話し合い、どういう壁があって、どう乗り越えて、結果に至ったかを知りたいのだ。それが会社の文化にマッチするか、今の会社をよりよくしてくれるかが知りたいのだ。

結果を出すことは重要だ。入社したらもちろん結果を出してもらわなければ困る。しかし、面接ではその結果が出せる人物かどうかをみたいわけだ。たった1度の運の良さだけで判断など、もちろんしない。