一流のスポーツ選手にコーチがいるように、経営者にもコーチが必要だ

一流のスポーツ選手を思い浮かべてほしい。野球でも、サッカーでも、テニスでも、ラグビーでも、水泳でもいい。

そこで思い浮かべた彼らは一流になるまで、そして一流になってから、いずれの時期においても、たった一人でそこまで登りつめ、そこに居続けているわけではないことがわかる。

そう、そこには、必ずコーチという存在がいる。

一流のスポーツ選手の陰には、一流のスポーツ選手ではない一流のコーチがいる

そこに存在するコーチは、一流のスポーツ選手を超えるほど、そのスポーツにおいて優秀なわけではない。

もちろん、一流の選手が一流のコーチになる可能性がゼロというわけではないが、「超えるほど」と考えたとき、可能性は限りなく低くなるだろう。

当然、実際にスポーツをやる能力と、それを伸ばし育てる能力の違いがあるだろう。ビジネスにおいても、プレイヤーとしての能力と、マネージメントとしての能力が異なる、とよくいわれる。

また、精神面のフォローが重要なのかもしれない。一流の選手とはいえ、常に精神を一定に保ち続けるのは、人であるがゆえ至難の技だ。そこで、常に一定のパフォーマンスが出せるようにルーチンワーク化したり、不調に陥ったときのフォローアップをしたり、モチベーションを高める言葉をかけたり、といったような。

人間はどこまでいっても、自分を本当の意味で客観視するのは難しい。とくに成果を出し続けているタイミングでは、困難を極める。そういったときに、常に客観的な目線で、鋭くさまざまな指摘をしてくれる存在というのは、非常に有益だろう。

いずれも想像に過ぎないが、一流のスポーツ選手がコーチをつける理由は、よく理解できる。

一流の経営者のそばにはなぜ一流のコーチがいないのか

では、なぜ、経営者、とくに、一定程度の成果を出した一流の経営者はコーチをつけないのだろうか。

自らの力だけで成功し、ここから先も自らの力だけで成功し続ける自信があるのだろうか。精神は崩れず、自らを客観視し続けられると思っているのだろうか。

超一流ともなれば、コーチなどつけずに、邁進し続けられる経営者も存在するだろう。しかしながら、そんな存在など稀有だ。ほとんどの経営者はそうではない。

しかし、成功して駆け上がった経営者の大多数はきっと勘違いをしている。自分が超一流だと。

そうなるころにはもう、そのヒエラルキーの下にいる人間からは、もう誰も恐れ多くてアドバイスなどできない。運良くアドバイスができる状況になったとしても、きっとその言葉に経営者は耳を傾けない。

スポーツ選手も傲慢になり、コーチや周りの意見を聞かず、最終的には落ちぶれていく、という姿をメディアで目にすることもある。経営者はなぜ自分がそうならないと思うのだろうか。

結局のところ、スポーツ選手も経営者も同じだ。一流であろうと、そうでなかろうと、そこにコーチという存在はあってしかるべきだ。

世界の名だたる経営者がコーチの必要性を感じている

かの、マイクロソフト社の共同創業者兼元会長兼顧問のビル・ゲイツはこういった。

みんなコーチを必要としています。
バスケット選手もそうですし、テニス選手も体操選手もブリッジプレーヤーもそうです。
フィードバックを与えてくれる人は誰にでも必要です。そうやって上達していくんです。
ビル・ゲイツ: 教師へのフィードバックでもたらせる変化 | TED Talk | TED.com

また、Google社の元CEOのエリック・シュミットはこういった。

ジョン・ドーアがとても際立ったアドバイスを私にくれました。『コーチをつけなさい』、と。
私は当初、私はCEOでありその経験としても十分に既に積んでいので、そのアドバイスにとても憤慨しました。
なぜ私にコーチが必要なのか?私が何か間違ったことをしたのか?私がこのとき、世界中でベストの人間だとして、コーチが何を私にアドバイスするのか?
しかし、コーチは何かをアドバイスするのではありませんでした。コーチはあなたと同じようにスポーツを上手くできる必要はないのです。
コーチは私を観察し、私のベストを引き出すのです。ビジネスシーンでは、コーチは単純なコーチではありません。コーチは別の視点で事象を観察し、”彼の”言葉で私にそれを説明し、問題へのアプローチを問いかける存在なのです。

このように、世界でも有数の経営者たちがコーチの必要性を感じ、実際にコーチをつけているのだ。

コーチをつけよう。ただし、コーチは一流の選手である必要はない

コーチは、自分より優秀なプレイヤーである必要はなく、また、先輩である必要も、年上である必要も、上司である必要もない。

業界や市場のエキスパートである必要も、本当の意味ではないのかもしれない。まったく門外漢の分野でのエキスパートであるほうが、コーチとしては適任だろう。

これまで経験してきたものを活かして、どのような観察力で、どのようなアプローチで、自分のベストを引き出してくれる存在なのか。

自分にとってどんなコーチが必要なのか、すら、身近な直近やライバルに聞いてみるといいだろう。そして、それにベストな人物すらも、紹介してもらうほうがいいだろう。

より客観的なアドバイスによって、ベストを引き出してくれる存在をコーチにつけることで、一流の経営者から超一流の経営者へ成長することができるし、事業も再び大きな成長軌道に乗せていくことができるだろう。

Featured Image: Coach / t_fern