社内起業はベンチャーに「泥臭さ」で負ける 〜イントラプレナーの失敗学〜

複数の企業において新規事業立ち上げを行なってきたシリアルイントラプレナーが、そこで繰り返してきた失敗を主観的に、客観的に記す「イントラプレナー(社内起業、新規事業)の失敗学」。

今回は、社内起業担当者の事業に対する「考え方」の根底について。

社内起業の担当者からよく耳にするフレーズがある。

「与えられたリソースが足りない」
「既存事業の調子がいいんだから、もっと資金を割り当ててくれればいいのに」
「社内の協力がうまく得られない。なぜ非協力的なのか」

かくいうボクも、よくこういった愚痴をこぼしていた。

その原因は社内起業の担当者にないケースもあるだろう。もちろん、原因は様々である。

しかしながら、そもそも社内起業の担当者のマインドにも問題があることが非常に多い。

ベンチャー起業家は、こういった愚痴をこぼすだろうか

ベンチャー起業家は、大企業よりもよりリソースは足りないし、資金は足りない。事業を推進するためのスタッフやパートナーさえ、そもそも見つけられないこともある。

そのとき、「リソースが足りない」「資金が足りない」「協力が得られない」と、社内起業家と同じような愚痴をベンチャー起業家はこぼすだろうか。

もちろん、こぼすか、こぼさないかでいったら、こぼすだろう。アドバイザーやVCに。

しかし、それは、単なる愚痴ではなく、具体的な解決策を求めた「助け」にほかならない。

そして、なにより、ベンチャー起業家は、自らがその解決のためにひたすらに手と足を動かすだろう。

「愚痴」をこぼしているだけでは、なにも動かない。具体的な対応策を机上で考えているよりも、まず動く。

そうしなければなにもはじまらない。ともすればそのたった少し立ち止まって愚痴をいっている時間が死に直結してしまうことを、ベンチャー起業家は身を持って理解している。

だからこそ、ただただ「泥臭く」動きまわるのだ。

社内起業の担当者は「泥臭さ」が足りない

一方、社内起業家が漏らすのは、ただの「愚痴」であることが多い。

自らが「泥臭く」動くことはなく、ただただ愚痴をこぼすだけだ。そして、上司が動いてくれない、同僚が動いてくれないと、他責にする。

その「愚痴」をこぼしたところで、なにもはじまらない、なにも変わらないのは、ベンチャーと一緒である。

しかし、違うのは、「愚痴」をこぼして立ち止まっていても、既存事業が稼いでいる会社は死なない。死なないから、時間を無駄に浪費することに対して、背徳感も危機感もない。

だから、その「愚痴」を解決するために、自らがただただ「泥臭く」動くことはしないのだ。

そして、解決することもなく、上層部からストップがかかり、プロジェクトは終わる。そのときも、マネージメントレイヤーが悪い、と他責になる。

ベンチャーよりも、ヒト・モノ・カネのすべてにおいて上回っている大企業が、ベンチャーに勝てない理由の根本は、この根底のマインドや危機感の差が比較的大きな割合を占めているのではないだろうか。