ファシリテーターの存在が成功確率をあげる 〜イントラプレナーの失敗学〜

複数の企業において新規事業立ち上げを行なってきたシリアルイントラプレナーが、そこで繰り返してきた失敗を主観的に、客観的に記す「イントラプレナー(社内起業、新規事業)の失敗学」。

今回は、新規事業部門の責任者の役割について。

新規事業の部門を立ち上げたとき、その責任者は役割としてなにをすれば、配下のプロジェクトの成功確率をあげることができるだろうか。

もっとも求められる役割は「ファシリテーター」であるとおもう。

事業そのもの、プロダクトそのものの創出には、プロジェクトリーダー、プロダクトリーダーという役割に人をつけて、事業推進しているとおもう。

新規事業は失敗が前提であり、成功確率は10%しかないという前提を理解しているマネージメントレイヤーであれば、複数のラインを走らせることで、組織全体としての成功確率を高めようとしているだろう。

このとき、新規事業を作り出すオペレーションを整理し、設計する、という役割を、プロジェクトリーダーに一緒に負わせていないだろうか。

もし、それを同一視してしまった場合、KGIとしては新規事業そのものが期待通りに成長しているかどうかを追いかけているにもかかわらず、そのKGIに関係のない、新規事業への投資効率を向上するための対応というのがうまれてしまう。そして、後者が前者の足を引っ張ることとなる。

しかも、同時に立ち上げたとあっては、それぞれがそれぞれの業務プロセスを構築することを負ってしまうため、ノウハウは共通化されず、限られたリソースを重複して無駄に消費することなる。

これでは、新規事業の成否は目に見えたとしても、投資効率が向上したかどうかを測ることはできない。

特に、新規事業一号案件は、もちろんその事業そのものの成功を目指すが、主に後者のために動かなければいけないことが多いため、実のところ、事業そのものの成否以上に、投資効率向上に寄与していることが多いのだが、そこを正当に評価することができない。

そうなると、各社によって異なる制度があるなかで、その会社にとってもっとも適した新規事業の立ち上げ方をノウハウとして蓄積し、二号案件、三号案件と進むにつれ成功確率をあげていく、ということができなくなる。

ここで「ファシリテーター」という役割が大切になる。

事業を創出する役割と、新規事業への投資効率を最大化させる役割を分離することで、それぞれの取り組みを正確に評価するのだ。

新規事業創出というプロセスは、事業が立ち上がったかどうかで判断すべきではなく、そのプロセスそのものが新規事業を立ち上げるためにベストな方法になっているかどうかで判断すべきだからだ。

それは、事業が立ち上がるには、プロセスが効率的かどうか以外の要因が大きく、必ずしも事業の失敗がプロセスの失敗につながらないためだ。そして、事業の成功がプロセスの成功ともいえない。

プロセスを構築し、改善し、その会社にとってベストな方法を導き出すというKGIをファシリテーターが明確に持つことで、事業の成否と切り離されてノウハウが確立し、新規事業を創出するための文化が形成され、結果的に、投資効率が高まり、将来の新規事業の成功へとつながる。

ファシリテーターは、このプロセスの構築、投資効率の向上に責任を負い、実際に現場で事業開発を担当するプロジェクトリーダー以下、スタッフも含めて、限られたリソースを事業創出に最大限活用できるように、継続した支援を行なっていくのだ。