社内ベンチャーとしての「WHY」を意識せよ 〜イントラプレナーの失敗学〜

複数の企業において新規事業立ち上げを行なってきたシリアルイントラプレナーが、そこで繰り返してきた失敗を主観的に、客観的に記す「イントラプレナー(社内起業、新規事業)の失敗学」。

マネージメントレイヤーの投資判断の基準のひとつとして、「スタッフが熱い思いをもったアイデアにこそ投資しろ」という記事を書きましたが、今回はそのスタッフ側が意識すべきことについて。

社内起業とは、サラリーマンとしての苦悩極まれりだ

「熱い思い」がないと、あらゆる壁を乗り越えられない

社内起業は、サラリーマンとしての壁が強く立ちはだかる。サラリーマン思考の強い人間にとっては、それはとても大きいもので、リスクが非常に大きいものだ。

しかし、成し遂げたい思いがあるのであれば、そんな困難など、自ら起業をするというリスクテークと比較すれば、なんてことはないものなのだ。

むしろ、「会社を利用してでも、この思いあるプランを実現する。そのために、ここは利用価値の高い会社だ」というぐらいの、ある種の腹黒い気概をもったやつでないと、その壁は乗り越えられないだろう。

また、逆をいえば、いま既存事業でしっかり成り立っている企業には、必ずコアアセットがある。それを自ら見つけ出して、自分の環境を最大限活かすという思考を持てる人材こそ、イノベーションを起こすにふさわしい。思考を持てる人材こそ、イノベーションを起こすにふさわしい。
スタッフが熱い思いをもったアイデアにこそ投資しろ 〜イントラプレナーの失敗学〜 | 天気晴朗ナレドモ浪高シ

この記事は、投資判断として書いたものだが、スタッフ側もこれはちゃんと意識しておかないといけない。

社内起業であろうが、ベンチャー起業であろうが、そのアイデアを生み出すことも、それを結晶化させることも、売上を立たせることも、利益を出すことも、累積黒字を達成することも、それなりに時間はかかる。

最終的に、最初のアイデアが、スケールするビジネスになるまで、2〜3年かかることはざらにあるし、もっとかかっても最終的に失敗する、ということもありえる。

そこでは、様々な困難に直面する。ベンチャー起業であれば、自身がリスクをとってやっているわけで、自分の力のみを信じてその壁を乗り越えようとするモチベーションがある。もちろん、チームで乗り越えられればよりベターだ。

しかし、サラリーマンはそうはいかない。そもそも会社が全体として、既存事業の効率化のためにオペレーションが組まれているのだから、その「様々な困難」や「壁」が、事業そのものを推進するのとは別なところで発生する。

自分の力のみを信じても、これを乗り越えられるわけではない。新規事業のチームだけで乗り越えられるわけではない。社内のステークホルダーの協力は不可欠になる。サラリーマンとしての苦悩極まれりだ。

壁を乗り越えるために、「WHY」を言語化すべき

この、「サラリーマンとしての苦悩」の壁を乗り越えるために、「WHY」を言語化しておくべきだ。

1つは、自身が、また、チームが壁を乗り越えるための、内発的動機として。

単なるタスクではなく、仕事として、その事業を通じてどんな価値を世の中や、ユーザに作りたいのか。それをしっかりと、チーム内に共通認識をつくり、その動機によって動く状況をつくるべきだ。

サラリーマンとしての壁を感じながら、リリースやスケールまでの長い時間を耐え忍び続けるためには、内発的動機は欠かせない。

1つは、壁を乗り越えるために、また、その壁をうまく迂回する策を見つけるために。

ベンチャーとは違う目線でPivotをする必要が必ず出てくる。大企業の論理として、事業をPivotさせなければならないタイミングが。

そのとき、「WHY」がしっかり固まっていないと、上司に言われた通りのモノをつくるはめになり、それはユーザにとっても価値がなく、自身やチームの内発的動機からもかけ離れたものとなり、事業を創るはずが、辛い思いをしてタスクをこなすだけの日々を過ごすことになる。

どんな理由のPivotであれば、事業の根幹をなす、WHYという軸はブレさせてはならない。

そして、もう1つは、乗り越えるための協力者を社内につくるために。

ベンチャーが、ともに働いてくれる仲間を集めるときに、熱く語るのは「WHY」だ。高い給料も出さず、日の目をみることすらないかもしれない、辛くてきつい仕事に従事するにあたって、心を突き動かすためには、内発的動機は欠かせない。

それは、大企業にあって、日々、平々凡々にオペレーションをこなしているだけの人たちに対して、例外処理をお願いするときも同じだ。「WHY」を語るのだ。

その意義に共感してくれたとき、例外処理を社内起業のチームにとって最適なオペレーションに組み立てるための、強い味方となってくれるだろう。