「経営目線を持て」とは、何を持てばよいのか

MBO面談や上司からのフィードバックの際に、「経営目線を持て」と言われた経験はありませんか?

ボクは度々言われたことがあります。特にスタッフのときには、それを言われるたびに「経営者でもないのに経営目線なんて持てるか」と反発していました。

マネージメントという観点から考えるならば、その持論は今でも正しいと思っています。

役職が人を育てる」という考え方があります。マネージャーや部長、役員とステップアップするにつれ見える景色は違います。その立場あがることで、はじめて「経営目線」は身につくものであるわけです。

事業にしろ組織にしろ、マネージメントすることに対しての経営目線は、やはりその立場にならないと気付かないことも多く、そう簡単に「経営目線」を身につけることはできない、と。

しかし、「経営目線」を別の角度から捉え直すと、実はスタッフであろうと誰であろうと持つべき「経営目線」はあるのではないかと感じはじめました。

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組織人の「経営=けいめい」の視座は高くあるべき

組織人が持つべき経営目線とは、「経営」を「けいめい」と捉えた時の「経営目線」です。

けい-めい 【経営】
世話・接待をしたり準備をしたりして、忙しく立ち働くこと。奔走。
「経営とは何か?」=「経営とは利他である」 | 天気晴朗ナレドモ浪高シ

組織というものは一人で成り立っていることはほぼありません。何か大きな成果をあげたとしても、それがたった一人で実現したなどということは、ありえないわけです。必ず誰かの助けによって、その成果が導き出されている。

他の誰かに助けられ、他の誰かを助け、相互に反映する「協栄」関係を築く。そのため「けいめい目線」を持ち、感謝を伝え、その感謝をカタチにする。それこそが組織人にとって大切なのです。

視座の高低は自己評価に表出される

例えば、よくありがちな(ボクもそういう時期がありましたが)、「正しく評価をされていない。給与が低い」という不満は、利己的な成果主義に立ち寄るものでしかありません。

この場合の目線は業務に対する実績もしくはというプロセスに対して、自己認識のみで分不相応の高い評価を求め、それが評価されないという話であることが往々にしてあります。

何故給与が低いのかを考えれば、そこに「経営目線」の答えが見えてきます。

給与を構成する要素は様々で、時系列で現在、過去、未来の要因が複合的に関わってきます。

「現在」の要素は、事業に対する成果だけでなく、ビジネスマン・社会人・会社人としての姿、会社のコアバリューの体現度などがあります。そして、個人によるものだけでなく、景気などの外部環境や、会社の売上・ステージ、また、組織において、他のメンバーとの相対やポジションなども関係します。

「過去」は、これまでのキャリアや前職給与、過去に出した実績からくる「信用」です。

「未来」は、将来出すべき実績への期待、将来の成長への期待などの「信頼」です。

「正しく評価がされていない」=「現在の評価となる根拠がわからない」というのは、自分の「成果」もしくは「プロセス」だけに目がいっている、いわば利己的な、自己中心的な考えに基づいて視座が低い状況にあるわけです。

利己ではなく、利他がまず先に来るべき

利己を追求するのではなく、利他の結果として利己を得るべきであるということ。それこそが経営目線なのではないかと思います。

自分を利すること「だけ」という低い視座を持ち、一丁前に権利の要求はするが、義務は果たさない。そこに義務があることにすら気付かない。そういう人が「経営目線がない」と指摘されるのでしょう。

組織とは人です。人と人の集まりが組織です。全員が利己的であればあるほど組織は崩壊に向かいます。全員が利他的であればあるほど組織は共栄します。

経営目線とは利他思考である

これが、スタッフが持つべき経営目線の在り方なのかな、と考えています。

本稿の前提として

もちろん本当に正当に評価されていないケースは多分にあると思います。

今回は正当に評価されているという前提がありますが、仮に、不当な評価であったとしても評価者に評価権限がある以上、自責の念にたって考えたほうが、自身の成長に通じるよね、という前提も含みます。

それを考え抜いても、本当に不当で自己の成長に繋がらないのであれば、その会社は辞めるべきです。

ビジネスクリエイター、インキュベーター、アクセラレーター、コンサルタント。エンジニアとして、PHP/HTML/CSSのマークアップ言語によるWebサイトの制作、SEOエンジニアリング、アクセス解析アナリストを経験した後、IT領域の技術/潮流をベースとしたエスタブリッシュ企業向けのコンサルタントを経て、複数のIT企業にて、Web/アプリ系、O2O系、IPライツ系の新規事業立ち上げに注力。事業開発から経営企画業務まで、事業および会社立ち上げに関する業務を幅広く経験。また、シードフェーズのベンチャー複数社の立ち上げへの参画や経営戦略・組織戦略・PR戦略へのアドバイザリー、メンター、複数のアクセラレーションプログラムのメンターも手がける。