[GROUPON考] 古いアイデアの掛け算はユーザが価値に気付きやすい 〜グルーポンの功績

Grouponのビジネスは、目新しいアイデアではありません。クーポンビジネスは群雄割拠の状態ですし、共同購入はギャザリングという形でこちらも著名なプレイヤーがいます。また、技術面をみても目新しいものを利用しているわけではありません。誰でも作れるサービスですから、Grouponの成功を見た日本のベンチャーがこぞってその本質も理解せずにどんどん参入してきているわけです(そして、どんどん減っていますね)。

Grouponの功績として、トラフィック・ビジネスの変化をあげました。もうひとつあげるとしたらここにあります。つまり、「古いアイデアの掛け算はユーザが価値に気付きやすい」という点を明らかにしたことにあると考えています。クーポン×共同購入×ソーシャルメディア。既にあるサービスを組み合わせることによって、価値あるサービスを生み出すことが可能だということを指し示したということです。

一番のキーポイントとなったのは「誰と」という視点です。twitterやfacebookなどのいわゆるソーシャルメディア、リアルタイムストリームの急拡大に伴い、この「誰と」という視点が想像以上に重要になっていたというわけです。『「何を」お得に買うか』というユーザの体験に、この「誰と」という視点を加え、『「誰と」「何を」お得に買う体験をするか』まで昇華させたわけです。

当然、クーポン×共同購入、強いコンテンツと強いインセンティブがソーシャルメディアと相性が良いことに気づき、このビジネスに「誰と」という視点をいれたことも、このビジネスがスケールした大きな要因であることは明らかです。

Grouponのビジネスが、古いアイデアの掛け算であり、それが凄いアイデアであったとき、ユーザはそのアイデアの価値に気付きやすいという点は、忘れてはならない視点かもしれません。今の時流に当てはめて言えば、ソーシャルメディアの出現によって、現時点で大きのユーザに利用されている事業でさえ、置き換えが可能となる可能性があるということです。

ビジネスクリエイター、インキュベーター、アクセラレーター、コンサルタント。エンジニアとして、PHP/HTML/CSSのマークアップ言語によるWebサイトの制作、SEOエンジニアリング、アクセス解析アナリストを経験した後、IT領域の技術/潮流をベースとしたエスタブリッシュ企業向けのコンサルタントを経て、複数のIT企業にて、Web/アプリ系、O2O系、IPライツ系の新規事業立ち上げに注力。事業開発から経営企画業務まで、事業および会社立ち上げに関する業務を幅広く経験。また、シードフェーズのベンチャー複数社の立ち上げへの参画や経営戦略・組織戦略・PR戦略へのアドバイザリー、メンター、複数のアクセラレーションプログラムのメンターも手がける。