Grouponのビジネスは、目新しいアイデアではありません。クーポンビジネスは群雄割拠の状態ですし、共同購入はギャザリングという形でこちらも著名なプレイヤーがいます。また、技術面をみても目新しいものを利用しているわけではありません。誰でも作れるサービスですから、Grouponの成功を見た日本のベンチャーがこぞってその本質も理解せずにどんどん参入してきているわけです(そして、どんどん減っていますね)。
Grouponの功績として、トラフィック・ビジネスの変化をあげました。もうひとつあげるとしたらここにあります。つまり、「古いアイデアの掛け算はユーザが価値に気付きやすい」という点を明らかにしたことにあると考えています。クーポン×共同購入×ソーシャルメディア。既にあるサービスを組み合わせることによって、価値あるサービスを生み出すことが可能だということを指し示したということです。
一番のキーポイントとなったのは「誰と」という視点です。twitterやfacebookなどのいわゆるソーシャルメディア、リアルタイムストリームの急拡大に伴い、この「誰と」という視点が想像以上に重要になっていたというわけです。『「何を」お得に買うか』というユーザの体験に、この「誰と」という視点を加え、『「誰と」「何を」お得に買う体験をするか』まで昇華させたわけです。
当然、クーポン×共同購入、強いコンテンツと強いインセンティブがソーシャルメディアと相性が良いことに気づき、このビジネスに「誰と」という視点をいれたことも、このビジネスがスケールした大きな要因であることは明らかです。
Grouponのビジネスが、古いアイデアの掛け算であり、それが凄いアイデアであったとき、ユーザはそのアイデアの価値に気付きやすいという点は、忘れてはならない視点かもしれません。今の時流に当てはめて言えば、ソーシャルメディアの出現によって、現時点で大きのユーザに利用されている事業でさえ、置き換えが可能となる可能性があるということです。