新規事業やスタートアップにとって成功体験はガンである

成功体験を悦に入り語る上司を目の前にしたことがあるだろう。あるいは、雑誌やWebメディアなどで、上場したスタートアップの社長の成功体験についてのインタビューやコラムを目にしたことがあるだろう。

それを目にし、耳にしたとき、何か得られるものがあっただろうか。それを、自らのビジネスに活用できただろうか。

成功体験は、イノベーションにとって、無価値である

ボクは、成功体験というものは、価値はほとんどないと考えている。

事業の「成功」というものは、ビジネススキームが優れているから達成できるものではない。当然、そこにいる人材や組織形態もそうだし、資金もだし、市場環境や強豪の状況など、様々な要因が複雑に絡み合って、結果として至るものである。

つまり、それはそのタイミングで成功しただけなのだ。その成功体験を完全にトレースして、再び成功に至ることなどない。再現性はないのだ。

もちろん、成功体験そのものが無価値だとは思わない。成功体験を積むことで強くなる面もある。しかしそれは、人材育成の面においてに限る。事業にとっては、無価値なのだ。

成功体験は、イノベーションにとって、ガンでしかない

それどころか、イノベーションにとっては、ガンにしかならないとさえ思う。

成功者は、強烈な成功体験であればあるほど、そこから離れるのは難しい。それ自身が、自らを組成する一つの要素であるからこそ、切り離すことなどできないはずだ。

そうすると、成功体験に引っ張られてしまい、最適な判断ができなくなることが起こりうる。それが「ガン」として、ビジネスの死因に繋がってしまうことがでてくる。その成功したタイミングでは最適な判断だったものが、今もなお最適な判断であるとは限らないからだ。

シリアルアントレプレナーの成功確率が高いのは、成功体験のおかげじゃない

しかしながら、成功者は再び成功することがある。シリアルアントレプレナーがいい例だ。

本質的に、そこで成功している人たちは、成功体験をもとに、2度めの成功をしているわけではないことは理解しなければならない。そこで活用しているのは失敗体験だ。

「失敗」をきちんと総括できていればこそ、そこに落とし穴がある、という認識ができる。その認識をもとに、落とし穴に落ちないように努力したり、落ちてしまったとしても素早くリカバリーすることができているのだ。

イノベーションを産むために必要なことは、成功体験を積み、いち早くそれを捨てること。そして、失敗体験はきちんと総括し、いつまでも忘れないことだ。

Featured Image: Success Key / jakerust