成長フェーズに入ったベンチャーにも既得権益は発生する

大企業であれ、中小企業であれ、ベンチャーであれ、イノベーションを起こすための弊害となるものの一つに「既得権益」がある。

既得権益と聞くと身近なものとは思えないだろう。国家権力に保護されている公務員や警察、税金を自由に使い責任をとる必要のない政治家や官僚、許可制・免許制などにより参入障壁によって保護されているマスコミなどの企業体、マーケットを支配している大企業など、自分たちの手の届かないような大きな力のあるところに存在するもののようなイメージがあると思う。

既得権益はどんな組織にも発生する

しかしながら、既得権益化は決してそのような大きな力があるところだけに発生するものではない。規模は関係なく、社会的集団が活動し、存続している限り、たいてい何らかの既得権益をもつようになるのだ。

既得権益ができると、既得権益そのものがさらなる富や力を獲得するためのエンジンとなる。そのため、すべての事象に対して正確な評価ができなくなり、富も力もなんらかのルールに則った正当な分配が行われず、偏りが発生する。

この偏りこそが、イノベーションの足を引っ張る要因となるのだ。

なぜ既得権益化するのか

大きな収益をあげている既存事業の責任者や担当者は、当然その力は強くなる。彼らにとって、イノベーションは自らのレーゾンテートルを脅かすことに他ならない。だから抵抗勢力となる。

新規事業のために予算を割こうとすれば、なぜ既存事業の拡大のための予算をそこに配分しなければならないのかと、反対する。
イノベーションがカニバリを起こす可能性が少しでもあるのであれば、既存事業を毀損するようなことはやるべきではないと反対する。
活躍している優秀な人材を、別の部門で登用しようとすれば反対する。

既存事業で粛々と成長し、利益をあげていればいるほど、強固に反対するはずだ。

逆をいえば、既存事業を成長させることがその責任者や担当者の責務なのだから、反対するのは当然のことだ。

既得権益がチャレンジを許容させるためには

この抵抗勢力をうまく取り込んで、新しいチャレンジをするために必要なのはルールだ。

既得権益が壊される。そこにある自らの地位が脅かされる。それが、抵抗勢力が抵抗勢力になる理由だ。

だとすれば、なにがしか既存事業に影響をおよぼす新しいイノベーションを起こすチャレンジに対する失敗を許容するときに、ルールを作らなければならない。

チャレンジをするからには、既得権益に少なからず影響を与えるだろう。それがネガティブに触れることまでは、抵抗勢力が許容できたとしても、自らの地位が脅かされることは許容しがたい。

ルールさえあれば、そして、それにのっとって対応されると信じさえすれば、いくらか抵抗勢力も譲歩できるポイントが見つかるだろう。

シードフェーズやアーリーフェーズでは、ルールは不要だ。自由闊達に意見を交わしてきたことだろう。しかしながら、いずれ組織はルールが必要となる。そのことを見据えて、早いタイミングで対応すべきである。